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May 14
長野朗『民族戦』(GHQ焚書)を読む6

抗日統一戦線と遊撃隊
長野は昭和十年(1935年)の年末に北京の大学生により抗日の火が燃え上がり、それが忽ち上海の学生に飛び火し、全国に蔓延して共産系の指導の下に全国的な抗日宣伝が行われたことを書いている。

当時の新聞記事を探していると、1936年2月17日の国民新聞に詳しく書かれている。この記事には「北平学生軍」が1935年12月9日に反日デモの火ぶたを切り、その後天津、上海、漢口、済南、広東など全国の大学の男女学生が一斉に、「打倒日本帝国主義」「自治反対」「防共反対」等のスローガンを掲げて蜂起に波及したことが報じられているが、「北平」というのは北京のことである。

1935年に学生による反日デモが各地に広がったのち、共産党は八・一宣言を発し国共内戦の停止と抗日民族統一戦線を呼びかけたのだが、反共の蒋介石はこれを無視していた。ところが、1936年12月に抗日的な張学良が蒋介石を監禁し(西安事件)、蒋介石は張学良が提示した共産党の討伐禁止、政治犯の釈放などを承諾して解放されたのだが、その後も共産党討伐を優先する姿勢を続けていたようだ。

その後1937年7月に盧溝橋事件が起こり、8月から始まった第二次上海事変で日本軍の強さを知った蒋介石は第二次国共合作に応じて、抗日民族統一戦線が成立した流れである。

日本軍と戦うには、正規軍の力だけでは難しく民衆の戦争参加が不可欠だと考えて、支那事変を支那民族全体の戦いにするために、国民党の正規軍と共産党率いる民衆からなる別動隊(遊撃隊)とが連携するようになった。長野は次のように解説している。

「彼等は正規軍の力だけでは、 日本軍に抗し得ないことを知っている。そこで民衆動員を企て、日本軍の背後にも一つの戦線を造ろうとした。これが遊撃隊である。

かくて従来の戦争に見られない現象が起った。 即ち戦線が前方と後方には民衆軍である。正規軍が二百万、これと同じ位の数の遊撃隊がいる。この遊撃隊の組織に当ったのは主として共産軍である。

この民衆軍の組織に当っては、その核心となるものがなくては、 民衆だけでは成立たない。 そこで共產軍はその全力を挙げて遊撃区に入り、中央軍、雑軍もまた加わった。この正規軍を核心として、 その周囲に遊擊隊が編成されていった。 多いのは一万くらいの師団の周囲に、 十万位の遊擊隊がこれを繞って存在した。 次には遊擊隊の基幹となる者を養成するための訓練機関がこの核心となる正規軍に付属され、 こうして養成された幹部は各々自分の郷土で遊撃隊を造った。共産軍の主なる仕事は、民衆を組織することと、民衆を訓練することであった。

この後方戦線の仕事は、また従来の不正規戦やゲリラ戦とも異っている。従来の遊撃戦が主として相手方の後方撹乱であったのと異って、後方撹乱は寧ろ従であり、 その主任務は政治・経済・思想工作であった。

政治工作として彼等は日本軍の被占領区域に入り込んで、自分達の係長を任命し、地方政府を造り、課税し、学校を設け、紙幣を發行し、 新聞を発行し、 郵便局までも設けた。 経済方面では日本側が必要とする物を一切供給せず、皆日本から持って来させるようにし、日本の国力減耗を計り、また日本品を購買しないようにした。彼等は農村に拠り、日本軍の占拠する都市と対立した。 経済絶交のために農村は自給自足の狀態に帰り原料生産から食糧生産に転じ、ために綿花の生産等は大に減じた。また農村に手工業を興して、 工業品の自給を企てた。

思想戦に於ては二つの目標を設けた。 民衆を日支いずれが獲得するかは重大な問題である。民衆の獲得には民心を獲得すべきであり、民心を得るには民衆生活を安全にせねばならぬ。 そのため民衆の生活問題について種々とやった。 一つは抗日思想の涵養である。 日本側の和平運動に対し、 長期抗戦のためには、 民衆の間に抗日思想をうんと注ぎ込む必要があるので、 民衆組織を通じて抗日宣伝に努めた。 かくて抗日思想はこの機会に更に大衆の間に深刻に這入って行った。
長野朗『民族戦』柴山教育出版社 昭和16年刊 p.270-272」
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支那の民族戦はまだまだ続く
長野は、今後支那の「民族戦」がどうなるかについて述べている。長野の言う通りであれば、「民族戦」は支那事変が終わって終了するわけではなく、今も続いているということになる。

「今回の事変がどう終結するか分らないが、 この事変の処置を考える場合、単に皮相の観察を下すことなく、 能く事変の本質を明かにし、 これに対する処置を誤ってはならぬ。事変の根底に流れるものは民族意識である。数千年来の伝統たる漢民族の発展の一過程である。 彼等の民族的侵略の本能は、 他民族との共存を考えず、 隴(ろう)を得て蜀(しょく)を望むやり口から見て、 日本の譲歩によって解決するものでなく、 彼等は何処までも伸びようとする。

排日団体のある宣言文の中に示してある「吾人と日本とは両立すべからざるものであり、吾人は満州を奪還し、朝鮮を收め、台湾・琉球を取り、日本を吾人の楽園とするまで止めないであろう」といふ一句は、決して宜い加減な言葉でなく、彼等漢民族の心の奧深く蔵されている民族本能の現われである。 殊に国民党のやり口は、 支那歴代の漢民族政府のやり方に比して更に深刻である。 彼等が一つの民族と事を構えるや、長きは数百年を要している。

今度の事変もその起りは日清戦争からである。 しかも日露戦争後には支那人の大々的満州移住を企てることによって既に日露に対する民族戦を開始している。 ただ日本人が気付かなかっただけである。 かくて日清戦争から見ても既に四十五年を経ているし、この事変を表面的に一時解決しても、深く民族問題に触れない限り民族戦は種々の形に於て依然として続けられるであらう。
同上書 p.272-273」

「隴を得て蜀を望む」は後漢の光武帝が隴の地(甘粛省)を平定した後、さらに蜀の地(四川省)をも欲した故事に基づく故事成語で、人の欲望には際限がないことを意味している。漢人は、満州人の故地満州に大量の漢人を移住させて取り込んだだけでは終わらず、その後チベット、ウィグルを飲み込み、さらに台湾を狙い、最後にわが国をも狙っているのではないだろうか。

「吾人は満州を奪還し、朝鮮を收め、台湾・琉球を取り、日本を吾人の楽園とするまで止めないであろう」は支那事変時だけの言葉ではなく、今の中国共産党も恐らく同じ考えを持っているのではないだろうか。なぜなら政治家、官僚、財界、司法、マスコミにはすでにかなり中国の工作がかかっており、また中国内の学校教育では強烈な反日思想が吹き込まれており、日本に大量移民を送り込むことが日本弱体化の強力な武器になることは確実な状況にある。

ところがわが国は、国や思想や宗教も問うこともなく外国人移民を歓迎する姿勢が強いのだが、移民を侵略の手段として考えている国に対してどのように国を守るつもりなのか。たとえば、もし中国で内乱が起きたり経済破綻などで「避難民」と称して大量の移民が流入する場合に、受け入れ人数を絞り込む対策は考慮されているのか。満州族の故地である満州に漢人が大量に移住したのは支那の内乱期であったことは忘れるべきではない。

参考記事
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支那の民族戦の根本的な誤り

長野は、世界の大民族であるロシア、アメリカ、支那の三民族が「東亜」の地に合流し、渦巻いていのが第二次世界大戦で、それぞれの民族の侵略方法は決定的に異なっていることを述べたあと、支那の侵略方法については根本的な誤りがあると指摘しているのだが、次の文章を読んで今の中国も同じだと思う読者が少なくないのではないか。

「アメリカの資本侵略、ロシアの領土侵略に対し、支那民族の発展方式は民族侵略である。表面の統治や経営権等に関係なく、民族の膨脹拡大により、海の満潮の如くに押寄せて来る。満州に南洋に、その発展の方式は既に説明した通りであるが、支那の民族発展には次のような根本的な錯誤が含まれている。

第一には支那の民族発展は排他的独占的であって、 民族帝国主義ともいうべきものであり、孫文もその三民主義の中で示しているように、自国を中華とし、支那民族を以て世界を征服せんとするから、他民族との共存を考えず、其周囲の各民族に対し、四千年間侵略と同化とを続けて来た。この伝統的な漢民族の大方針は、一貫して変わることなく、殊に国民党は最も露骨にそれを現わしている。
今日の事変に際しても、この支那民族の心理は到る所に現われ、支那人はこれを民族戦と呼んでいる。親日派も反日派も、南方人も北方人も、この漢民族意識に立つ時、彼等はすべて同じものであり、百パーセント支那人である。これを別物と見るのは日本人の錯覚に過ぎない。

第二は支那人の利己的観念である。 支那人の唱える不平等条約の撤廃も、表面の言葉に眩惑されてはならない。この中には二つの意味が含まれている。一つは支那の国家主権の独立であって、この回收は当然のことであるが、もう一つは利権回收の運動であり、 これは支那人の利己的観念から出たもので他国民と共存するのでなく、 すべての利益を漢民族の手に独占せんとするものである。
その最も著しい例は之を満州に求めることが出来る。満州事変前の満州に於て、 張学良一派は、 日本側の有するすべての利権や企業に執拗なる圧迫を加え、これを奪取して満州のすべての利益を自己の手に独占せんとし、 また満州の土地を日本側に開放することを拒み、これを漢人の専有とせんとした。こうした習性は到る所に現われている。 …中略…

第三には支那民族の進出が搾取的なことである。 満蒙に於ても南洋に於ても、支那民族の発展は他民族の搾取の上に行われ、他民族の生存を冒し、これを滅亡せしめるに至るものである。
満蒙に於て之を見るに、 蒙古人生活根拠たる牧場を奪ってこれをして生存の余地なからしめ、 また商人として満蒙人に物を高く売り、 蒙満人の生産品を安く買い、 大なる不当利得を貪る。 また朝鮮人小作人から法外なる小作料を取立て、 あるいは朝鮮人に開墾させ、 土地の熟するやこれを奪い取り、また鮮滿蒙人に金を貸し極めて高利を貪る。…中略…
支那人は国内に於ても支那人間でこうした搾取をやり、他人の危急を見ても之を機会に搾取する。 即ち本質的に徹底した搾取民族である。 従って支那人と他民族とが混住した場合、 他民族は必ず支那人に喰はれるから、 清朝時代でも、満蒙では支那人と満蒙人との居住地域を分別して混住せしめなかった。

第四には支那民族の移住により廃頽氣分を持ち込む。支那人の往く所、影の形に添う如く付き纏っているのは阿片と賭博と秘密結社の三つである。阿片は実に民族を毒すること大なるもので、 阿片中毒者がその財產を失ひ、体を損なって一生働けないだけでなく、阿片中毒者は子孫が出来ない。賭博は支那人の常習で支那人のある所必ず賭博があり、 支那人は其の日常生活までも賭博化する。秘密結社には南洋の各統治官憲も大分困ったようで…中略…殺人、强奪、賭博阿片密売等すべて彼等の手に行われる。

以上のように、支那民族の発展が非共存的であり、搾取的である限り、之との協調は不可能で、支那民族の発展方式は全く修正されるべきである。
同上書 p.280」

「民族の発展が非共存的であり、搾取的である」というのは、中国だけでなく、アメリカもロシアもイスラエルなども同類なのだが、このようなやり方で領土を拡大したり利権を獲得することが出来たとしても、長続きするとは思えない。いや、長続きさせては世界の多くの人々が不幸に陥ることになるだけだ。
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May 15
日貨排斥を煽動したのはやはり英米の宣教師
中国の排日運動はまもなく日本製商品の排除に動き出している。教科書などではサラッと書かれているが、実態はかなり酷いものであった。当時の状況は各紙が英米の宣教師が背後で動いていたことを報じている。五四運動から約一ヶ月後の大正八年(1919年)六月六日に報じられた神戸新聞の記事を紹介したい。
日貨排斥運動で乱暴行為を働いたのは学生が多かったようだが、その背後に英米の宣教師がいたという戦勝国にとって都合の悪い真実は、戦後の歴史叙述からはスッポリと抜け落ちている。

「支那に於ける排日運動の激烈なる事は屡(しばしば)報道せる如くなるが、今や形勢漸(ようや)く険悪の度を加え、在留邦人は何も生命財産に対し不安の念に恟々たる有様にして、殊に邦人商店の受くる打撃は最も甚だしく、各商店は何れも営業停止の状態に在り。

邦人商店にて傭用せる支那人店員等に対しては、仇敵日本人に使用せられ居るは売国的行為なれば、三日以内に解雇されて日本商店を出づるよう脅迫し、又排日貨の手段としては之に止らず、支那人の日貨販売者に対して甚だしき圧迫危害を加えつつあり。

例えば学生等隊を組て店内に入り、陳列せる商品中日本貨物あれば直に取下ろさしめ、今後日本商品を取引すれば売国的行為と認め、如何なる手段を以て報ずるやも知れずと脅迫して日貨の取引を禁じ、更に甚だしきに至りては、支那人にして日本製帽子洋傘を使用する者あれば、之を奪いて破棄する等の乱暴を行い、或いは日本製物品に排日的文字及日本を侮辱せる漫画を画き、人目多き場所に掲げ又は日本製品を路上に堆積して焼棄する等狂態を演じつつあり。

而して南京商務総会は爾今日貨の輸入と現在の日本貨物を上海及各地仕入先へ返還するの決議を為したれば、日本貨物を取引しつつある商店は之が実行を余儀なくせられ居れり。而も此の状態は決して一時的現象と認め難く、其背後には英米宣教師の活躍大いに力めつつあるを以て、此の情況の今後何日に至りて終熄すべきや殆ど計り知られず。邦人商店の危機将(まさ)に迫れるを以て彼等は此の際世論の憤起を求め、一時も早く此の危機を除去せん事を切望しつつありと最近支那より帰来せる某氏は語れり。
大正8年6月6日 神戸新聞 神戸大学新聞記事文庫 外交23-101」
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日貨排斥が日中貿易に与えた影響
「日貨排斥」とは、ただ日本商品を排斥するというだけではなかった。中国に進出した日本企業には多くの中国人が雇用されていたのだが、彼らは仕事をサボったり、日本商品を取扱うことを拒否したりしたという。同年六月十一日の大阪朝日新聞は次のように報じている。

「支那の日貨排斥熱は一時下火に向える如く伝えられたるも、事実は刻刻に険悪を加え居るが如く、最近の入電は単純なる日貨排斥より暴動的同盟罷業に変じ、其間過激主義の色彩さえ加わり、各地に蔓延して対支貿易上の打撃漸く甚大ならんとするの傾向を示すに至れり。内最も猛烈を極め居れるは上海地方にして、九日発当市某会社入電によれば排日気勢は益々他の範囲を拡め、埠頭艀船人夫及び倉庫の苦力にまで波及し、日本人貨物の取扱を拒み又は不当の賃金を要求するに至り、支那人との取引並に受渡しに支障を来す事少からずとあり。

更に別報は支那商人は日本商人との雑穀取引を停止したる為め、目下薬種の出廻り期にあり且つ欧洲向食糧輸出の為め出廻り期を竢ち大々的に買付を開始せんと待ち構え居たる日本商人の計画に一大頓挫を来し、打撃少からず。 其他種油、油粕、落花生、棉実油、小麦粉の取引も全然不能となれる旨報じ居れり。
以上は一般商品に対する排貨なるが、綿糸関係方面の入電は徒らに日常品たる日本貨物不買及び対日輸出を停止する如きは結局自家頭上にかかる損失なりとし、徹底的に日人に打撃を与うる目的の下に日本人経営の日華紡績、内外棉工場の職工を煽動したる結果、連日来操業を中止せる旨を報じ更に本社入電は内外棉工場の某と襲撃を伝うる等形勢は愈険悪を呈し来れるが如し。

長江沿岸排日熱は独り上海のみに止まらず長江沿岸一帯に亙りて益々猖獗を極め、同地方を最大の得意とする日本燐寸の如きも各地より積出し中止の電報頻々と入り込み、之れ亦全然取引杜絶の状態にあり。
南京にては同地商務商会中心となり輸入日貨の排斥を決議したるのみならず、現在の日貨をも上海其の他の仕入先へ対し返還を交渉したる如き事例さえあり、斯くて長江一帯の支那人は日本汽船に対し荷物を搭載せざるのみか、日本船の船客たらざる事をも申合せ居る為め、日清汽船の如きは貨客共に皆無の状態にて非常の苦境に陥れるが如し…
大正8年6月11日 大阪朝日新聞 神戸大学新聞記事文庫 外交23-128」

当時の中国の最大の貿易相手国は日本であったのだが、こんな活動が続けられていたら、これまで中国市場で取り扱われていた日本商品の売れ行きがどんどん悪くなって当然である。同年六月十七日の報知新聞に八木商事の課長のこんな談話が出ている。

「実際排貨運動の影響如何は今後の貿易統計に依って観るを至当とす。現に今日我国の輸出業者にして積出を控え居るもの少からざれば、今月より来月にかけて対支貿易上に必ず多少の影響あるべしと思わる。又支那より我国に輸出する商品は影響なきが如きも、排日の影響は日支金融取引の上にも及び居るを以て是れ亦今後多少の影響は免れざるべし。

而して現在支那市場に於ける買品の六割は日本品にして殊に綿糸布に至りては日本輸出額の七八割を占む。然れば日貨排斥が徹底せば我国の被る打撃は頗る大なるべし。

然れど支那が果して今後永久に日貨排斥を継続し得べきや否やは疑問なり。支那市場に於ける日本商品は彼等の日常欠くべからざるものなれば、幀て彼等の排日感情の和らぐと同時に排貨運動も緩和さるべきが、兎に角余等の立場としては我政府が支那人の感情を毀損するが如き対支政策は成るべく避けられん事を希望するもの也。
大正8年6月17日 報知新聞 神戸大学新聞記事文庫 外交23-168」

中国の輸入品の六割は日本で、そのうち綿布については七~八割は日本からであったのだが、生活必需品が多かったので日貨排斥は長くは続かないと予想し、政府が中国人を刺激するような対支政策をとらないことを希望しているのだが、このような認識は甘すぎたと言わざるを得ない。Image
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日本政府が支那の宣伝戦の対策を講じなかったのは何故か
当時のわが国の内閣は本格的政党内閣と言われた原敬内閣であったのだが、中国を刺激するような施策をとらなかった。英米の宣伝工作に対抗してわが国も中国に対する宣伝が必要であることを、早くから主張した新聞社もあった。例えば同年六月二十二日の京都日出新聞には次のように記されている。

「吾人が特に痛切に感ずるは、支那に対する我宣伝機関の欠如せる事是れなり。元来支那国民は何事にても直に附和雷同して直に悲歌慷慨し易く、而して元来支那は文字の国、言論の国なれば之を善用するにも之を悪用するにも、文字言論の力を以てすれば最も効果多きは少しく支那の国民性を解する者の解する処にして、在支英米人の如き夙に茲に着眼し或は宣教師を利用し、或(あるい)は幾多の機関新聞を設置し、若(も)しくは支那の新聞記者を利用して、自己の利益を擁護し、到る処(ところ)其(その)根柢頗(すこぶ)る鞏固なる者多く、現に今回の排日、排日貨騒ぎにても、彼れ等は巧みに之を利用して其主旨を宣伝し居れるに係わらず、肝腎の我国にては、殆んど之と云う宣伝機関を有せず。

よし又之を利用すれば利用し得可き機関や機会があっても、我政府当局者は決して之を利用せざるのみならず、今回の事柄に就ても、朝鮮騒擾事件の当時と均しく成る可く之を秘密にし、成る可く事を荒ら立てず、自然に沈静するを俟(ま)つの外なしとし、努めて消極的の態度を取り、積極的に我国の真意の存する処を彼等支那国民若しくは第三者の前に宣伝し、彼等の誤解を解くなど云う事は毫(いささか)も考慮せざる者の如く、之が為め支那各地に在る我同胞の被る処の損失は決して少からず。何れも皆我政府の態度に慊焉(けんえん:不満足)たる者あり。…中略…

我帝国が東洋に於ける平和の維持者として、其最も関係深き支那国民の親善を保ち、支那国民の諒解を得んと欲せば、今に及んで最も完全にして最も有力なる宣伝機関を有する事は、最も緊急必要の案件たる可し。
聞く処に依れば、満鉄及び台湾銀行の関係者其他在支実業家の有力者等にも、輓近益々其必要を感じ、寄り寄り其実行方法等に就き協議中なりと。之れ等の有力者に依りて此事の実行せらるるは、勿論吾人の希望して止まざる処なり。
然れども之と同時に為政の局に当る者も、又区々たる対内政策にのみに没頭せず、党派党観念を捨て、此際我国民の真意を全支那国民に宣伝する計を講ずるは、当然の任務にして、若し当局者に一片の誠意あれば之を実行する又必ずしも困難の事業に非らざるなり。
大正八年六月二十二日 京都日出新聞 神戸大学新聞記事文庫 政治14-54」Image
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May 16
日貨排斥を「千歳一遇の絶好機会」と捉えたアメリカ

元々中国の日貨排斥はアメリカが仕掛けたものなのだが、中国学生を煽動して日本商品の不買運動を定着させた後で,アメリカ商品の輸出を狙っていたことは容易に想像がつく。そのことはアメリカの雑誌に実際に報じられていたことが、大正八年(1919年)十二月十七日の神戸又新日報に紹介されている。

「自殺的支那の日貨罷買(ひばい:不買)熱は不幸にして益々狂暴の模様なるが、近頃狡猾なる米国貿易商人中に魔法瓶其他の安価なる日本雑貨を米国に輸入し更に支那に逆輸したるにメード、イン、ジャパンの刻印ありたる為全部排斥されたりとの笑話あり。

尚彼等無謀の支那学生共は、例令日本以外の貨物にても、苟くも日本船に積載し来りたるものは一切拝斥すべしと揚言し居れるが、右につき米国極東貿易界の鉅商(きょしょう:大商人)ゼームス・ヒウスは近刊行の「太平洋港湾」誌上に、米国は千歳一遇の此絶好機会を逸すべからずとて日米の親交も物かは、公々焉(こうこうねん:公然)として火事泥的意見を述べ、
「支那の日貨罷買は政治以外に於て米国に取り重大の関係あり。即ち此運動の為に日本の年々支那に輸出するシャツ、シーチング其他の綿製品及び綿糸等の金額八千七百万弗(ドル)も今や九割方の減少を示せり。斯くて支那の広大なる市場は日本に向って殆ど全く閉鎖されんとしつつあるも、戦争の重傷に悩める欧洲諸国は工業未だ復活せざるを以て、其製品を支那に供給するに由なし。是に於て米国は対支唯一の供給国たらんとす。
現に支那よりの註文は最近激増し、従来未知の支那商館より注文又は問合を為し来るもの少なからず。綿糸綿製品に次で多く日本より供給せしは紙類なるが、今回の罷買は米国のパルプ製産地なる西北太平洋沿岸諸州に取り無二の福音にして、同地方の支那貿易熱は必然昂進すべし。次に電球、絶縁電線其他の電機用具及び硝子、石鹸等の日本品も米品を以て代用せしむる機会は今なり。
小幡氏は日本公使として北京に勢力あり連(しきり)に支那官憲を圧迫し居れるも、罷買は支那政府の云為に非ずして全く民間自発の反抗なれば政府は如何ともするに由なし。
山東問題に由れる今回の罷買は其根柢極めて深く、容易に終息の恐れなければ、米国たるもの此際一大奮発なかるべからず。而して日本商人は此際死力を尽して支那市場の挽回に奔走し、且つ日本政府は彼等の援助を為すこと勿論なれば、米国商人は心して一層努力を要す。尚米国貨物は一切日本船に託すべからず」云々。

米人の罷買煽動は右の一言一句之を確実に証明し居れり噫(ああ)
大正八年十二月十七日 神戸又新日報 神戸大学新聞記事文庫 外交39-43」

「山東問題に由れる今回の罷買は其根柢極めて深く」などと述べているが、日中ですでに解決していた山東問題をあとでこじらせたのもまたアメリカなのである。
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米国対支貿易 : 三年間に十八割増
当然のことながらアメリカの対中貿易額は大幅に伸びていった。大正十年六月六日の萬朝報は、三年間で米国対支貿易が十八割も増加したことを伝えている。

では日貨排斥が行われたことによって、時系列で各国の対支貿易額はどのように動いたのであろうか。その点については、大正十二年七月二日の中外商業新報が詳しい。

「支那の排日貨運動は次第に露骨となり容易に閉息しそうにない。我国の対支輸出上由々しき問題で我財界のため憂慮すべき問題である。元来我国の対支貿易は列国の夫れに比し近年著しく進歩力を阻止せられ、輸出輸入共に大正八年を最多額とし、爾来減少の状にある。…中略…

概して云えば輸入よりも輸出の減少が甚だしいことが分る。更に最近六ヶ年間に於ける一月から五月迄の輸出入高を見るも、本年に入りて輸出が特に減少したことを明かにして居る。

右は列国から支那へ輸出した金額と支那より輸入した金額を示したものである△印には欧港より輸出したものを含まない

右に依ると列国より支那へ輸出した高は戦後概して増加して居る。即ち香港よりの輸出は大正八年以来同十年迄に七千八百万両(海関両以下同じ)、米国よりの輸出は六千五百万両、英国よりの輸出は八千五百万両、英領印度よりの輸出は九百万両、仏国よりの輸出は六百万両を増加して居るに拘らず、我日本よりの輸出は三千六百万両を減少して居るのである。実に遺憾に堪えぬ次第であるが、這は我国の物価が列国に比し割高であることも一大原因であり又我製品の不良も原因して居り、又欧米諸国が戦後特に対支貿易の発展に力を入れて居ることも原因して居る。此上支那の排日貨が益々甚しくなれば列国の対支輸出額は増加し、我国の夫れは益々減ずるのである。実に恐るべき状勢になりつつある。
大正十二年七月二日 中外商業新報 神戸大学新聞記事文庫 日中貿易3-73」

五四運動が起きた大正八年(1919年)をピークにわが国の対支貿易は減少に転じた一方、英米の輸出額は急増していることが誰でもわかる。それでも、わが国の輸出額はまだまだ高い水準を維持していた。しかしながら昭和に入るとさらに日貨排斥が激しくなっていく。Image
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済南事件以降日貨排斥運動はさらに深刻化した
昭和二年(1927年)三月に蒋介石の国民革命軍が南京を占領した際に日本人居留民らが襲撃される事件(第一次南京事件)が起き、四月には漢口の日本人居留民らが襲われた(漢口事件)。
翌年(1928年)山東の居留民保護のために出兵(第二次山東出兵)し、済南で北伐軍と日本軍が衝突し、多くの犠牲者が出た(済南事件)のだが、この事件の後で日貨排斥運動はさらに深刻化していくことになる。

「(上海特電十八日発)山東出兵以来引続いての済南事件突発に依って、俄に猛烈となって来た当地を中心とする南支一帯の日貨排斥運動は、此程に至り更に条約改訂問題、東三省問題などに絡んでますます深刻化して来た観がある。
即ち支那側斯界では飽くまで日本に対抗し、日本の行動を牽制せんとするには一方に列国の同情を求め他方対日経済絶交を為すことを以て唯一の最も有効な手段と見做し之れが徹底を期す可く、官憲の非公式援助と諒解の下に従来のような一局部的方法を避けて各地に於ける排日団を糾合し、全国反日会を設立し其本部を上海に置き通関業者、海関吏、学生団、工人団など相互に連絡を取り組織的に各種の計画を進めつつあるが、此結果は運動の漸く永続性を帯びて来たに連れて日支両国の経済関係にいよいよ重大なる影響を与えんとして居る。
云うまでもなく日支両国の経済的関係は何れの国のそれよりも密接で離る可からざる関係にあるものであるが、日貨の取引が突如として停止された今日に於ては、支那は代用品として国産品のあるものは先ず差支えなしとするも、之れとて工業の幼稚なる今日極めて粗末なもので日本品の代用として使用することは総ての点に於て不利益があり、然りとて洋貨を使用するとすれば之れ亦勢い高価なものとなり経済的に多大の損害を免れない状態に陥って居る。殊に従来日本品のみを取扱って居たものへの影響は頗る甚大である。
昭和三年八月二十日 時事新報 神戸大学新聞記事文庫 日中貿易4-117」

そして日貨排斥の隙間を狙って英米独等の対支輸出が増加していく。

「大蔵省主税局関税課が発表した昨年十一月までの本邦対支輸出額を見るに左表の如く一昨年同期に比し満洲、中部、関東洲において増加し結局総額において約一割の増加を示して居るが北部、南部、香港特に南部支那への輸出は激減して居る。南方において日貨排斥を受けなかったならば昨年の対支輸出は激増であったろう(単位千円)。…中略…

然しながら今支那は復興への道程にある、物資の需要はおう盛である、日貨が排斥されて居る間に英米独等が進出する。

アメリカ商務省が発表した昨年一月以降九月までの対支輸出額を見るに一億一千万ドルを超え、一昨年同期の八千二百万ドルに比し約三割四分の増加を示している、九ヶ月で既に一昨年一ヶ年間の合計一億九百万ドルを凌駕している。
昭和四年一月八日 東京朝日新聞 神戸大学新聞記事文庫 国際貿易24-184」

そして昭和六年にはとうとうアメリカの対支貿易が日本を追い越して首位となっているのだが、戦後の 歴史叙述ではアメリカがいかにして対支那市場で日本を追い落としていったかという経緯が欠落していることを知るべきである。
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May 26
『平家物語』の巻一に、白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたという逸話があるが、京都の鴨川には過去何度も洪水を繰り返し、橋を流してきた歴史がある。

賀茂川に架けられた四条大橋は江戸時代だけで八度も流されてそのたびごとに架け直されてきたそうだが、昔は少しの費用ですぐに架けられるように小さな橋であったという。

しかしながらこの橋は、祇園祭や神社の参詣に欠かせない重要な橋であることから、幕末の安政三年(1856年)に石の橋脚に木造の橋を架け渡し、大きな橋が建造されたのだそうだが、その橋も明治六年(1873年)の洪水で再び流されてしまった。

明治六年といえば、「文明開化で」国を挙げて洋風化に取り組んでいた時期である。

四条大橋は京都で最初の鉄橋に架け替えられることとなり翌年に完成したのだが、この新しい橋の建造の為に大量に集められたものがある。

『神仏分離資料第一巻』に「京都四条鉄橋と廃仏」という記事があり、そこにはこのように記されている。

「京都四条の鉄橋の材料は、仏具類が破壊せられて用いられたとのことである。かの鉄橋は、明治六年に起工し、翌年三月に竣工し、同十六日に開通式が行われた。総費額一万六千八百三十円で、祇園の遊郭で負担したとのことであるが、時の知事長谷信篤は、府下の諸寺院に命じ、仏具類の銅製の物を寄付せしめた。古い由緒ある名器の熔炉に投ぜられたるものが少なくなかったと云うことである。当時廃仏毀釈の余勢が、尚お盛んであったことが判る。
洛陽四条鉄橋御増架に付献上書云々とある文書が伝わってある。その一に、紀伊郡第三区深草村寶塔寺、一、古銅器大鰐口、丈八寸、縁二尺、目方十六貫八百目、銘に深草寶塔寺為覚庵妙長聖霊菩提、慶長十七年七月二十日、施主中村長次とあったことなど見える。此類の物が今の鉄橋になったのである。(明治四十五年四月八日発行仏教史学第二編第一号所載)」(昭和四十五年刊『神仏分離資料第一巻』復刻版 p.384-385)

深草の宝塔寺は昔は極楽寺と称し、源氏物語にも出てくる由緒ある寺であり、安永九年(1780年)に刊行された『都名所図会』にはこの寺の境内が描かれている。鰐口(わにぐち)とは仏堂の正面軒先に吊り下げられている音を鳴らす仏具であるが、ここで書かれているサイズは通常のサイズの倍以上の大きなものであり、もともとは本堂に吊り下げられていたものであろうか。鰐口に刻まれていた慶長十七年とは西暦1612年にあたり、江戸幕府が直轄地に対して禁教令を布告し、キリスト教教会の破壊と布教の禁止を命じた年である。

『神仏分離資料第一巻』には、溶炉に投げ込まれた事例は宝塔寺の鰐口のことしか書かれておらず、他にどれだけの鐘や仏具類が熔炉に投げ込まれたかはわからない。しかしながら、この時に架けられた橋の長さは、今の橋でも72mあるので、それに近い長さはあったであろう。溶かされた仏具類は半端な量でなかったことは確実なのである。

国際日本文化研究センターのホームページに、明治初期に出版された『京都名所撮影』がアップされており、その中に明治7年(1874年)に完成した四条大橋の写真が出ている。この橋は京都市電敷設のために大正2年(1913年)に新しい橋に架け替えられたのだが、昭和9年(1934年)の室戸台風で鴨川が氾濫したため大規模な河川改修が行われて、昭和17年(1942年)に現在の橋が造られた経緯にある。
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大量の鐘や仏具類が 四条大橋の新設工事に集められた経緯
明治7年の工事に話を戻そう。
大量の仏具類が集められた背景を考えるには、明治に改元する前の慶応四年(1868)三月に新政府が相次いで出した命令文書がある。意訳して簡単に紹介すると、

①祭政一致の制度を回復し、神祇官を復活し、全国の神社・神職を神祇官に付属させる(三月十三日太政官布告)
②神社で別当・社僧と称し、神職を兼務している僧侶は復飾のこと(三月十七日神祇事務局達)
③権現、牛頭天王など仏教的名称を神号とする神社は由緒を申し出よ。また仏像を神体とすることを禁じ、神社から仏像、鰐口、梵鐘、仏具などを取り除くこと(三月二十八日神祇事務局達)

③がいわゆる「神仏分離令」と呼ばれているものだが、明治維新までは一部の例外を除き神社は仏教僧侶の支配下にあり、神と仏は同列に祀られて神殿と仏堂が同居し神殿に仏像などが置かれ、僧侶が神前で読経を行うのが普通であった。(「神仏習合」)

北野天満宮、石清水八幡宮、祇園の八坂神社、上賀茂神社、下鴨神社など、京都の有名な神社はいずれも昔は神仏習合で、境内に多くの仏教施設があり仏像などを数多く保有していたのだが、「神仏分離令」が出たことで境内の仏教色が一掃され、仏像・仏具類を神社の境内から撤去することとなった。また、照高院のように廃寺となった寺や、安井金毘羅宮のように寺院が神社になったようなケースもあり、仏教施設や仏像・仏具などの一部は他の寺院が引き取ったものの、処分しきれなかった金属製の仏具等が、四条大橋の建築資材として持ち込まれたことが考えられる。

しかしながら、集められた金属類はそれだけではなさそうだ。
『神仏分離資料第一巻』に出てきた深草の宝塔寺については今も現存する寺であり、明治期に何かが破壊されたという記録もなく、慶長十三年(1608年)に建立された本堂と室町時代に建立された総門と多宝塔はいずれも国の重要文化財に指定されており、『都名所図会』の時代の景観が概ね維持されているようなのである。

宝塔寺の事例について記録が残っているならば読んでみたいところだが、おそらくこれは「神仏分離令」とは関係がなく、京都府より金属製の仏具等の寄付を迫られて供出したものだと思われる。このような事例は他にも相当あったのではないだろうか。Image
明治初年の廃仏毀釈と文明開化による旧物破壊
明治初年の神仏分離令には、仏教施設や仏像仏具を破壊せよとは一言も書かれていないのだが、実際には仏塔や仏像などの多くがこの時期に破壊されている(廃仏毀釈)。

『神仏分離資料第一巻』に大隈重信の「明治初年の廃仏毀釈」という文章が掲載されている。

「明治初年の廃仏毀釈は、神道者、国学者及び漢学者が主唱したもので、彼等が仏教に対する積年の怨恨を晴らそうとしたものだ。政治上の統一力が不十分であって、大に乗すべき余地があった。彼等はこの機会に方り、自ら主唱する便宜を得たものだ。実際寺を焚いたり、仏像を壊したりした。廃仏毀釈は全く彼等の仕事であったのだ。…今日より見れば、宗教問題は固より大切であるが、当時は政治の要路に当たっている者が、殆どその問題に思い及ばなんだ。寺を焚いたり、仏像を壊したりしたるも、最初は政治上から別段の注意することもなかった。これが事実である。」(同書 p.275-276)

神仏分離令が出たのは三月二十八日だが、四月一日に近江日吉山王社の仏像仏具の数千点が破壊され焼き捨てられる事件が起きている。
この事件の主謀者は日吉権現祠官の樹下茂国と生源寺義胤で、樹下は現役の神祇事務局権判事であった。この文化財大量破壊について政府の責任は重たいはずなのだが、二人に対しては、この事件から1年9か月も後になって解職処分とされた程度で済んだという。

新政府からすれば、この事件が起きたのは政府軍が戊辰戦争で旧幕府軍と戦っている最中で 江戸城が無血開城となる10日前 のことであり、この事件に関わってるような状況ではなかったというのが実態であった。

明治の初期には仏像などが破壊される事件が各地で起きたのだが、このような廃仏毀釈に大きな影響を与えたのは平田派の国学者達で、この時期は彼等が神祇官で主導権を握っていた。

しかしながら明治維新を成し遂げた中心メンバーは近代化・西欧化を目指していて、極端な復古主義を主張していた平田派は政府内で次第に力を失っていくことになる。明治三年末には神祇官官員が削減されて急進派が失職し、明治四年には国事犯の嫌疑(平田派国事犯事件)がかけられて要職から追放され、開化主義者が政府の主導権を握ることとなる。

しかしながら開化主義者も同様に古い文化財を守る意識はなく、その後も仏教施設などの文化財破壊が続くことになる。彼等が行った文化破壊は、仏教や儒教が伝来した以前の日本に戻そうとする復古主義者による破壊とは異なり、古いものは何でも西洋風のものに置き換えようとしたのである。
前掲書で大隈重信は次のように述べている。

「神道者等は神仏分離ということで、社僧が廃せられたら神道者等が社僧に代わり大いに富栄の位置を得べきことと楽しんでいたのだ。徳川時代の坊主のような安楽な境遇を得るであろうと喜んでいたのだ。然るに一向楽しみ甲斐もないようであったから、また神社を破壊したというようなこともあった。実に面白い状況であった。此の如くにして、畢竟(ひっきょう:要するに)旧物破壊ということとなり、仏教も神道も勢力を失い、漸次変遷して来たのだが、新に勢力を得ることとなったものは、独り欧米の文物思想であった。」(同書 p.279)

このように大隈は、破壊を主導していた思想が明治初期とは異なっていったことを示唆している。
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May 30
Most people use NotebookLM the wrong way.

They only ask for summaries — and end up with average results.

Here are 10 advanced NotebookLM prompts that help you learn faster, think deeper, and truly understand your sources.

🔖 Save this for later. Image
1/ Practice with real-life situations
“Using only the uploaded sources, create 5 realistic situations where [topic] would be applied in real life. For the first one, explain the solution step by step, showing the reasoning, the concepts being applied, and common mistakes beginners make. For the other 4, only provide the scenario and let me solve them myself without revealing the answers. After each response, evaluate my reasoning, explain what I missed, and show how an expert would approach it.”
2/ Connect it to what you already know
“Using only the uploaded sources, teach me [new topic] by connecting it to my understanding of [familiar topic]. Explain the similarities, differences, patterns, and mental models between both topics, including where the analogy breaks down. Use practical examples, point out common misconceptions, and test my understanding with difficult comparison questions.”
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May 30
Lo prometido es deuda, y como os dije anoche… tengo una sorpresita.

He podido acceder al sumario del caso Begoña Gómez.

En concreto a los Tomos XXX y XXXI del Tribunal del Jurado 1146/2024.

Dentro del Tomo XXXI está la pieza más importante: el atestado nº 86/2026 de la UCO, la Unidad Central Operativa de la Guardia Civil, firmado el 21 de mayo de 2026.

Muchas páginas de análisis (más ocho anexos) sobre la Cátedra Extraordinaria de Transformación Social Competitiva de la Universidad Complutense y la plataforma “Transforma TSC”.

Pero antes, una advertencia esencial, que no quiero que se entienda mal.

Esto es un informe policial. La propia UCO lo dice de forma expresa: todo lo que contiene se emite “en términos de presunción”, como indicios, sometido a la valoración que haga la autoridad judicial.

No es una sentencia. Es el trabajo de la policía judicial, que el juez usará junto al resto del sumario.

Y algo importante que voy a respetar en todo el hilo: el informe tiene cal y arena.

Hay cosas que apuntan contra Begoña Gómez y cosas que la UCO descarta expresamente.

Las dos están en el sumario, y las dos las voy a contar.

Va a ser un hilo largo.

Si te interesa el caso, merece la pena porque voy a intentar explicar todo bien.

Empezamos. 🧵Image
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Primero, qué es la Cátedra. Sin esto no se entiende lo demás.

La Cátedra Extraordinaria de Transformación Social Competitiva se crea por un convenio firmado el 30 de octubre de 2020.

Entre tres partes: la Universidad Complutense, Reale Seguros y la Fundación La Caixa.

Las aportaciones, con cifras: Reale puso 60.000 euros en un pago único. La Caixa, 15.000 euros anuales.

Además, la Cátedra captó después otros 176.000 euros de Telefónica, Google, Numintec y la Fundación Human Age Institute (del grupo Manpower), de los que 158.400 fueron a su fondo propio.

La dirige Begoña Gómez. Esposa del presidente del Gobierno.

¿Y qué hacía la Cátedra?

Sobre el papel, según el convenio, era una estructura de colaboración entre la universidad y empresas para trabajar la “transformación social competitiva”: básicamente, ayudar a las empresas a medir y mejorar su impacto social y medioambiental, alineándolo con los Objetivos de Desarrollo Sostenible. Tenía tres líneas: formación, investigación y divulgación.

La pata de formación eran dos másteres propios de la UCM.

Uno, el Máster en Transformación Social Competitiva.

Otro, el Máster en Dirección de Fundraising Público y Privado para entidades sin ánimo de lucro, es decir, formar a profesionales en captación de fondos para oenegés y fundaciones.

Eran títulos pequeños: en su última edición, 10 y 16 alumnos respectivamente.

Y de la pata de “herramientas digitales” del convenio nació justamente la plataforma, que es donde está el meollo del caso.

No es un ente independiente: depende de la UCM y tiene una Comisión Mixta como órgano de control, presidida por el Vicerrector de Relaciones Institucionales.

El gasto total de la Cátedra, hasta su liquidación, fue de 128.714,89 euros.

La Cátedra fue finalmente suprimida, y los dos másteres asociados (Transformación Social Competitiva y Dirección de Fundraising) se cancelaron también.

Un apunte del sumario deja claro que la UCO no aprecia ilegalidades en la creación de la Cátedra.

El problema, según el informe, no está en cómo nació, sino en lo que vino después con la plataforma.Image
Dentro del equipo hay una figura que la UCO subraya: María Cristina Álvarez Rodríguez, que ejercía funciones de asistencia a Begoña Gómez.

El detalle: es empleada pública eventual, nivel 26, adscrita al Gabinete de la Presidencia del Gobierno desde el 16 de julio de 2018.

Es decir, una asesora pagada con fondos públicos en Moncloa, ejerciendo a la vez tareas de apoyo para la actividad universitaria de la esposa del presidente.

¿Cómo de directa es esa implicación?

La UCO documenta que Álvarez usaba su correo oficial de Presidencia para gestionar reuniones del proyecto.

Hay correos suyos desde esa dirección, ya desde diciembre de 2019, convocando a directivos de empresas colaboradoras.

En uno de ellos firma como “Directora de Programas, Secretaría General de Presidencia” mientras gestiona una actividad del Máster de la UCM.

La UCO la considera, “a efectos de exposición”, integrada en el equipo de trabajo de la Cátedra, pese a no tener una relación formal con la Universidad.

Es una de las tres investigadas del caso.

El solapamiento entre su puesto público en Moncloa y su trabajo para el proyecto privado de Begoña Gómez es uno de los focos centrales de la causa.Image
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May 30
Content quality seems subjective.

But one scoring framework predicted ranking success with 87% accuracy.

Before content even published.

Here's the quality score that actually works: 🧵👇
1/ Why quality scores matter:

Publishing without quality assessment:

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Pre-publication scoring:

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2/ The 7-factor quality framework:

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Total: 100 points possible
Threshold for publishing: 70+
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May 30
🚨Claude Code just gave me a complete research paper with a single prompt.

The paper has a strong argument and even beats AI-detection app, Pangram.

With a little editing, it can pass for 100% human, and can be easily submitted for peer review.

Here's the workflow I used: A research paper discusses Hans Christian Andersen’s tales in colonial India, while an AI detection tool analyzes its originality.
Last year, I published a paper on how Hans Christian Andersen's Danish fairy tales were translated and received in colonial India.

I took the bibliography of this paper and put all the documents in a separate folder.

I wanted to see how well Claude Code could perform using these sources.The document discusses Bengali translations of Hans Christian Andersen's fairy tales in colonial India, emphasizing cultural impact and context.
The documents are in three languages Danish, English, and Bengali.

These are fairy tales, colonial archives, and literary theory in PDF including those that require OCR. A list of documents including PDF files on fairy tales, colonial archives, and literary theory in Danish, English, and Bengali.
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May 30
ANOTHER one of the most impressive studies in recent memory found that the combination of NAC + Glycine has remarkable anti-aging effects in nearly every metric.

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This study came out in 2021.

Both older (71-80 years old) and young (21-30 y/o) people were enrolled.

The older folks got a large dose:

◇ Glycine: ~7 g/day
◇ NAC: ~9 g/day (≈ 6.9 g cysteine equivalent)

for 24 weeks.

This doesn't necessarily mean that one has to take this much, since this was measuring a relatively short period of time on the elderly, so they were trying to up their stores rapidly.

Typically, a maintenance dose of NAC is 1.2-2.4g, and glycine 3-6g.Image
Basic labwork showed improvements with the supplement.

◇ ↓ BUN (blood urea nitrogen) - nitrogen waste / protein breakdown
◇ ↓ Creatinine - muscle protein breakdown marker
◇ ↑ Estimated GFR - measure of kidney filtration capacity
◇ ↓ Triglycerides - circulating fats

But it goes way deeper than this.Image
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May 31
A Biology Professor Said:

"Your belly is a storage of cortisol waste. Clear it with one routine before bed... and your life will change."

Here's the 9 Minute Fix He Provided 🧵: Image
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May 31
Last week I was sent an image of a pro-Palestine stall at Cambridge Market Square.

Not angry students. Not masked radicals. Rather elderly white women encouraging strangers to boycott Israel.

So yesterday I went to Cambridge to hear what they were selling.

Thread ⬇️⬇️ Image
The stall was bigger yesterday - but the same women were also there. I looked over the material and listened for a while - as one activist tried to explain to people how the Arabs had always considered themselves Palestinians -

Newsflash - this was a big fat lie.
Eventually the same woman came over to me. I did not want to confront her - I did not seek an argument.

I just wanted to understand what it was she was selling - so I played as someone there to be educated.

We spoke for about twenty minutes. Everything I was told was false.
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May 31
Sticking your tongue out for 40 seconds may relax your jaw.

But it won't free your life.

Here are 7 hidden patterns nervous-system hacks can’t fix:

1. The inner dictator Image
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You don' say “should” because you lack discipline.

You say “should” because some part of you learned that obedience was safer than desire.

The problem is not the word.

The problem is the self that had to disappear beneath it when you were young.

Now, as an adult, you say it automatically and think it's the way life is.
2. The false self

You built a version of yourself that performs well, responds quickly, stays agreeable, and gets things done.

But the body knows when your life is being lived from compliance vs. real joy.

Anxiety is often the cost of abandoning your true self.
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May 31
1/ The Russian army's use of dazzle camouflage in an attempt to confuse Ukrainian drones is unlikely to succeed, according to sceptical Russian warbloggers. They point out that it's not the First World War, and trucks on roads aren't ships at sea. ⬇️
2/ Kirill Fedorov comments:

"Ukrainian channels published a photograph of a Russian Kamaz truck repainted in zebra camouflage. This was done to confuse American Hornet UAVs, which have AI-assisted final-track lock-on.
3/ "However, if the drone is controlled manually, and it doesn't necessarily have to be a Hornet, repainting it won't help. In that case, it could serve as a temporary solution. Long-term, road protection and an interceptor system are needed."
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May 31
I don't just want military sanctions on Israel like these sham/performative Politicians and Zionists like ex youth missionary, Bernie Sanders waste time bringing up for the public image.
It is long overdue for a complete economical sanctioning and embargo against Israel.
Completely cut the United States off from complicity in this Genocide, recognize the ICJ/ICC and call for the trial of all human rights violations on both sides of the conflict.
@threadreaderapp unroll
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