#統計 真の分布があるという仮定はもちろん都合の良い仮定です。真の分布についてのなにがしかの仮定のもとでのみ有効な数学的道具を現実に応用する場合には、必要に応じて真の分布に関する想定も疑う必要があります。続く
#統計 これは『統計的有意性とP値に関するASA声明』 biometrics.gr.jp/news/all/ASA.p… にも書いてあることにも類似していて、何かの妥当性を疑う場合には【背後にある仮定】を全部まるっと丸ごと疑う必要があります。(もちろん、それぞれの項目ごとに疑わしさには違いがあることにも注意する。)
#統計 例えば、サイコロを何度もふってどの目がどれだけの確率で出るかを推定する場合には、通常、サイコロの出目のデータの真の生成法則は未知の分布のi.i.d.でよく近似できると想定しますが、サイコロが脆弱で振るたびにちょっとずつ壊れてしまう場合にはその想定が不適切であることは明らか(笑)
#統計 しかし、振るたびにちょっとずつ壊れて行くという状況そのものについては真の確率的法則があると想定して、同じ素性と構造のサイコロをたくさん用意して、そういう新たな想定の適切さについて研究することは可能です。
#統計 いずれにせよ、真の法則に関する想定は都合の良い仮定であり、その仮定は現実において得られるあらゆる情報を使って十分に検証されるまで、どこまで信用して良いのか分からないままになります。

これは別に普通のことで特別に気に病むようなことではないと思います。いつものことに過ぎない。
#統計 しかし、何らかの統計分析を行ったと主張している人が、使用した統計分析の方法が妥当であることを保証する想定を明らかにしなかったり、1つも知らなかったりする可能性は、非常に残念なことではありますが、大いに気にする必要があると思います(笑)
#統計 例えば、「主観主義」の「ベイズ主義」に基く「意思決定論」によるベイズ統計の枠組みでは、そもそも主観的に設定したモデルの妥当性についてまともに考察することさえできません。続く
#統計 自分の主観で決めた事前分布と統計モデルの下で、データに基く主観的信念の更新を行い、主観的な期待リスクを最小化するように○○について推定した、と言われても、その主観で決めたモデルが妥当であるかもしれない根拠をその人は何一つ述べていないわけです。
#統計 データがなにがしかの法則で生成されているという型の想定を行い、その想定のもとである統計分析法が妥当であることを数学的に示しておくことは、

* 少なくともその場合にはその方法が妥当であること

を示しているという意味で価値があります。
#統計 非常に残念なことに、おそらく結構ありがちなのは、自分が使っている統計分析の道具がどのような想定のもとでなら妥当な道具になるかについて無頓着になってしまうことです。

そういう人達は自分がおバカさんの側であることを認めて、真の法則の想定について勉強した方がよいです。
#統計 注意・警告:データを生成している真の法則に関する想定として、未知の分布に関するi.i.d.の仮定は単に扱いが最も易しい場合であるに過ぎず、可能性としては数学を使って表現できるあらゆるパターンがあり得ることに注意しなければいけません。そして多くの場合が数学的に解明されていない。

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9 Nov
私も自分ちの子に「小5の算数を変に誤解せずに理解できればその後は当分のあいだ楽になる可能性が高い」と繰り返し言いました。

実際には小5より前におかしなスタイルを身に付けているケースが多いと思われ(チョー算数問題)、「理解する」とはどういうことかについて考え直すことは恐らく最優先事項。
小5以上の算数が楽々理解できる思考スタイルに乗っかれた人はそのことだけで大変な幸運だったと考えるべきだと思います。運が良かった。

算数の教科書を見ると小5から急に難しくなる。

だから、チョー算数特有のパターンマッチ教育にしつけられた方法で挑むと悲惨なことになるのは確実。
「小5まで戻るのかあ~(泣)」のようにがっかりするのではなく、

* 普遍的に通用する理解に迫る考え方をする練習

にもなることを納得して、

* コツさえつかめればその後は圧倒的に楽になる

と信じてやればうまく行く可能性が高いと思う。コツを探るための題材は難し過ぎてはいけない。
Read 5 tweets
5 Nov
#統計 ベイズ統計の「主観確率」「ベイズ主義」「意思決定論」による解釈においては、主観確率のもとでの期待リスク最小化でベイズ統計における適切な推定法が特徴付けれます。

一見合理的なのですが、未知の法則の推測・予測を一切考えないことになっています。詳しく解説しましょう。
#統計 渡辺澄夫著『ベイズ統計の理論と方法』を読んでいる人のための解説にしたいので、その本の記号法に近いスタイルで説明します。(渡辺さんの本は「ベイズ主義」とは無関係)

まず、パラメータwに関する事前分布φ(w)とパラメータwを持つ確率分布p(x|w)を用意します。

続く
#統計 「主観確率」の「ベイズ主義」においては、事前分布φ(w)は、ある人にとってのパラメータwに関する主観的な確信の度合いを表していると考えます。

例えば、その人が正しいパラメータの値がw=a付近である可能性が高いと思っていれば、事前分布φ(w)の値はw=aの近くで大きくなる。続く
Read 28 tweets
31 Oct
#統計 新刊の大塚淳著『統計学を哲学する』を近所の本屋で買って来ました。まだp.91にしか目を通していないのですが、

【データに基づく信念の改定というベイズ流の考え方】

とか

【ベイズ統計~ベイズ主義では確率は主観的な信念の度合いを測るもの】

と書いてあった!これはひどいと思いました。 Image
#統計 現実の統計分析や機械学習でベイズ統計の技術が「データに基づく信念の改定」としては普通使われていません。

数学的モデルとしての確率分布は使われていますが、モデル内における確率をわざわざ「主観的な信念の度合い」などと解釈したりしません。続く
#統計 去年の12月に出版された浜田宏他著『社会科学のための ベイズ統計モデリング』という本を見れば、社会科学の分野においても理解度の高い人たちにとって、ベイズ統計はすでに「主観確率」の「ベイズ主義」によるものではなくなっていることが分かります。続く
Read 513 tweets
11 Oct
#Julia言語#Lisp のマクロは難しいです。

そういう難しいものについては、

* プログラミングの専門家以外は使えなくてもよい

という考え方もありだと思う。しかし、

* 必ずしもそうとは言えない場合もある

と私は考えています。例えば、特殊函数の専門家の数学者が~続く
#Julia言語 例えば、特殊函数論が専門の数学者が自分が愛している有用な特殊函数の数値計算ライブラリを作って配布したいと思ったとします。

特殊函数の数値計算は多項式や有理函数による近似に帰着する場合が多く、「係数をべた書きしたホーナー法」で書くと計算が効率的になります。続く
#Julia言語 続き。しかし、そのようなコードを数学者に直接書かせることは効率的ではありません。

数学者が知っている係数の計算法に従って係数が自動的に計算され、それが「係数をべた書きしたホーナー法」のコードに自動変換される仕組みが好ましいです。

まさにそれをやるのがマクロです!
Read 12 tweets
9 Oct
#Julia言語 【ネタ】tuple processing language

S式っぽいタプルでJuliaの式を与えると、それを解釈して実行してくれるマクロ(笑)

空行とコメントを合わせても33行しかありません。続く

gist.github.com/genkuroki/b410…
#Julia言語 タプル式でsin(π/6)を計算してみましょう。

(:call, :sin, (:call, :/, π, 6))

を実行すれば sin(π/6) を計算できます。:call を省略して

(:sin, (:/, π, 6))

でも同じ結果が得られるようにしてあります。続く
#Julia言語 タプル式で函数も定義できます。

(:(=), (:call, :f, :x), (:call, :sin, :x))

で f(x) = sin(x) と定義できます。In[4]ではそのようにして定義した f(x) を使って f(π/6) を計算しています。続く
Read 8 tweets
9 Oct
#Julia言語 リンク先のリンク先のブログ記事に言及している人が多い!私が書いたんじゃないけど、なんかうれしい。

細かいケアレスミスがあってもそういうのは本質ではなくて、おもろいネタで長文を書きまくっていて楽しそうな点が秀逸!

JuliaとLispのマクロの話がウケるというのもすごい話!
#Julia言語 Juliaのマクロを理解するために役に立つ情報(ネタ)

S式風のタプル式

(:call, :sin, (:call, ;/, π, 6))

をJuliaの式

Expr(:call, :sin, Expr(:call, ;/, π, 6))

に変換して実行するマクロ。これは :(sin(π/6)) に等しい。

この辺の知識があるとJuliaのマクロを理解し易くなる。
Read 39 tweets

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