Thread by @tkatsumi06j

#CoronavirusUpdate 2021/7/30🇺🇸米紙ワシントンポスト「戦況が一変した」とする米疾病予防管理センターCDCの内部文書を入手。拡大する #デルタ株 による #ブレイクスルー感染 について「 #水疱瘡 のように広がり接種完了済みでも効果は限定的」であることをどう伝えるか苦心。 washingtonpost.com/health/2021/07…

この内部文書はポスト紙が独自に入手したもので、CDC内部で共有されていたプレゼン（スライド）資料の一部。「ワクチン接種完了済みであってもデルタ株はブレイクスルー感染する」と結論づけた新たな研究を受け、「公衆衛生のトップ機関が苦慮している様」が窺えるという。
washingtonpost.com/politics/biden…

当該資料では、「まるで独立した新しいウイルスのように作用しエボラや風邪 washingtonpost.com/national/healt… などよりも効率的に標的から標的に乗り移る」変異株に対する「最良の防御」がワクチンであることを強調するには、どのようなメッセージングが必要かの検討がなされていた。

CDCの資料では、実際のアウトブレイク（大発生）の調査結果や外部委託研究の内容など、これまで未公開だったデータ
washingtonpost.com/health/breakth… が参照されており、「 #デルタ株 に感染した場合、ワクチン #接種完了済み であっても、 #未接種 の場合と同程度に容易く伝染する」ことが示されていた。

この研究データによると、「 #デルタ株 に感染した者はワクチン未接種で同じ #変異株 に感染した者と同等に測定可能なウイルス量を有している」ことが確認された。

資料を確認した米カリフォルニア大SF校医学部長のワヒター博士は「読了時には、読み始める時よりも相当に懸念が増していた」と言う。

資料からは、CDCの科学者らがいかに「これらのデータの公開を待つことなく、今週初めに #ワクチン接種済み の人々を対象とするガイダンスの内容を大幅に変更する」 washingtonpost.com/health/2021/07… ほどに、新しい研究結果に危機感を抱いていたかが読み取れるという。

連邦政府の保健担当者によると、ワクチン接種の有無にかかわらず、特定の状況下の公共の場では屋内でもマスク着用を求める改訂がなされた勧告には、この文書に引用されたデータや研究が重要な役割を果たしている。担当者は、当該データは金曜日に完全な形で公開されるとポスト紙に伝えた。

CDCの所長が29日、連邦議員らに説明を行った時にも、この資料を多用したという。

資料では「ワクチン接種の有無にかかわらず若年層に比べて高齢者の入院や死亡のリスクが高い」という記述のほか「接種済みの1.62億人の国民の中から3.5万人/週の割合で有症候感染者が発生すること」が想定されていた。

その上で資料は、ワクチンの効果の持続性について各州の保健衛生当局が懸念を示していることや、「ワクチンはもう効かない」「 #ブースター接種 が必要と「国民が確信し始めている」ことなど、 #ワクチン接種済み の人々に発生する事例により「コミュニケーション上の課題」が生じていることを示した。

資料は、CDCには「極めて困難な課題がある」とした上で、「ワクチンには重症化や死亡を防ぐ実証済みの効果があることを強調する必要がある」とする一方で、「より軽症の #ブレイクスルー感染 が起こる蓋然性が高いこと」を認めざるを得ないことが示されていた。
washingtonpost.com/science/2021/0…

ここでポスト紙はこう一言入れる。

「CDCは成功を示すゴールポストを動かすことを公明正大に示す必要がある」

そして「CDCからはコメントを得れなかった」と、暗にCDCがリークを認めていないことを明かす。

但し、これは米政界では通例のplausible deniability（もっともらしい否認）だろう。

取材に応えた政府筋は「稀ではあるものの、個人レベルではワクチン接種済みの者でもウイルスを伝染する可能性がある。だからガイダンスを更新した」と述べ、「たった数日でもデータ公開を遅らせれば無用な犠牲に繋がっていた。保健当局者としてこれは許容できなかった」と、匿名を条件に心情を述べた。

今回の資料は、ワレンスキー所長がガイドラインの撤回を発表した2日後に発覚した。CDCは5月13日に屋内外でのマスク着用が不要であるというガイダンスを発していた。
washingtonpost.com/health/2021/05…
「今回の撤回は、 #デルタ株 の脅威の前に戦略的後退を余儀なくされたことを意味する」とポスト紙。

CDCは「接種済みの人でも、ウイルスが蔓延している地域の屋内や、感染や病気に脆弱な人がいるそばではマスクを着用する必要がある」と勧告した。

未公開資料についてポスト紙は「新たな科学を示すもの」と評しつつ、同時に「国民の信頼を得るための広報の在り方」を模索するものであるとした。

資料は、保健当局者がこれまで口々に「 #ブレイクスルー感染 は稀である」と述べていたのにもかかわらず、実際にブレイクスルー感染を見聞きする国民が増えているため、国民のワクチンに対する信頼が低下しかねないことを懸念。広報の戦略を練り直す必要があるとしている。

ウェイン州立大学のリスクコミュニケーションの専門家であるシーガー教授は、 #ブレイクスルー感染 に関する広報が欠落していたことは「問題だった」と評価する。保健当局者が口々にワクチンの効果を喧伝していたため、後になって完璧でないことが判明するのは「裏切り」のように捉えられるからだ。

シーガー教授は語った。

「奇跡のワクチンであるというPRはうまくできていた。しかし、効果を過大に保証するというトラップにも陥っていた。これはクライシスコミュニケーションが必要な状況で起こり得る典型的な課題の一つだ」

しかし、CDCの改訂されたガイドラインはこれを十分に果たしていない。

資料は次のように提言した。

「感染力の高さと現在の #ワクチン接種率 を考慮すれば、 #デルタ株 の感染を減らすためには全面的なマスク着用が不可欠である。」

ワクチンが感染に対する相当な防護となることを認めつつ、ワクチンに関する広報については改善の余地があることを指摘していた。

資料は、リスクは年齢や免疫系の異常など様々な要素によって左右されるため、「ワクチン接種済みの者に対する固有のリスクに関する広報を改善する必要がある。」と提言。また、免疫不全症を患う者や高齢者施設の入所者にはワクチンの効果が十分発揮されなかったことを示すデータも添付されていた。

資料には、「本資料に含まれる知見および結論はそれぞれの著者のものであり、必ずしもCDCの公式な見解を示すものではない」とする、但し書きが添えられている。だがポスト紙は「この内部文書には、CDCによるマスク着用に関するガイダンスの変更に影響したとみられる科学的情報が含まれている」とする。

ペンシルバニア大学アネンバーグ公共政策センターの所長を務めるキャスリーン・ジェイミーソン博士によると、データを公開せずにマスクのガイダンスを変更したことを受け、CDCは外部の専門家らから批判を受けたが、これは「 #科学的規範に反する行為」だからだという。

「公衆衛生当局者ならまず、『理由をお知らせすることはできないが、我々を信頼してほしい』とは言わない」

ジェイミーソン博士はこう語る。

「科学的規範に則れば、科学に基づく表明を行う時には、科学［的根拠］を示すことが求められる」

博士はこう語り、更に２つ目の過失を指摘する。

「（CDCの）二つ目の過ちは、#ブレイクスルー感染 が #入院率 を増加させていることについて、その影響範囲を率直に語ろうとしていないことにある。」

CDCは「ブレイクスルー症例は今後も予期されるものであり、接種者が非常に多くなっているため、全症例数に占める割合は増加するだろう」と見る。

#ワクチン接種率 の高い🇸🇬シンガポールをはじめとする他国の研究でも同様のデータが得られており、部分的または完全なワクチン接種者の場合、新規感染者の75％が発生すると報告されている。

CDCの資料では、「ワクチンに対する国民の懐疑心の克服」が課題の１つとして挙げられている。

資料の冒頭のスライドには、「国民はワクチンがもはや機能しないと確信している」と書かれている。

エモリー大学ワクチンセンターの副所長を務めるウォルター・オーレンシュタイン医師は、ワクチン接種者が #デルタ株 に感染した際、ワクチン非接種者と同等の量のウイルスを排出したことを示したデータに衝撃を受けたと言う。

この『秘匿』とされたスライドでは、マサチューセッツ州バーンスタブル郡で発生した、 #ワクチン接種者と非接種者がほぼ同一の量のウイルスを排出したアウトブレイク の事例が紹介されていた。

「物事を変えていく上で、これはとても重要[な発見]だ」

オーレンシュタイン医師は語った。

匿名を条件に語ったCDCと共同で #デルタ株 の調査を行っている情報筋によると、このデータは、2021年7月4日にマサチューセッツ州プロビンスタウンで発生した事例に基づくものだという。ゲノム解析の結果、ワクチン接種者が、他のワクチン接種者にウイルスを感染させていたことが判明した。

この情報筋は、このデータに対する「深い戸惑い」をおぼえ、このデータを見た科学者らにとってはまさに「”炭鉱のカナリア”を見た思いだった」と言う。

ポスト紙は、「CDCが述べるように本当に《戦況》が変わったのならば、成功と失敗を推し量る計算式も変わったことを意味する」と指摘する。

感染症の専門家は、#デルタ株 の極端な伝染性により、 #集団免疫 がより困難な目標となったと指摘する。

コロンビア大学の疫学者であるジェフリー・シャーマン博士は、CDCのスライドを確認した後で、「問題の核心は、ワクチン接種者がデルタの感染に相当程度関与していることにあると思う」と述べ、

「ある意味、ワクチン接種は今や個人を守るためのものとなっている、つまり重篤な病気から自身を守るためのものであって、 #再感染 や #ブレイクスルー感染 が発生していることを示す証拠がふんだんにある現状においては、#集団免疫 はもはや関係がない。」

と、ポスト紙への返信でこう述べた。

「この文書は、科学者や専門家が何か月も前から主張してきたことを強調するものだった。今こそ、パンデミックに対する人々の考え方を変える時である。」

ポスト紙はこう提言する。

メリーランド大学医学部のワクチン専門家であるキャスリーン・ノイジル博士は、より多くの人にワクチンを接種することが優先事項であるとしながらも、人類が近い将来に渡って付き合っていくことがほぼ確実なウイルスとの関係を、一般市民が変えていかなければならないかもしれないと述べる。

ノイジル博士は「鼻から検出されたすべてのウイルスを心配するのではなく、重篤な疾患や障害、医療上の影響を防ぐという目標に向けてシフトする必要がある」と述べ、こう結んだ。

「けっして容易いことではないが、我々はコロナウイルスがなくならないことを受け入れる必要がある。」

[要約は以上]

《関連報道》国内

新型コロナ: 米東部のクラスター、4分の3がワクチン接種者　当局分析: 日本経済新聞 nikkei.com/article/DGXZQO…

#Note 版できました。
まだ仕上がりがちょっと粗いかもしれません。

#CoronavirusUpdate 【抄訳】コロナとの戦いで #デルタ株 により《戦況が一変した》とする米CDCの内部文書を暴露した米紙記事｜米紙ワシントンポスト (2021.7.30)｜戦いのノート @tkatsumi06j note.com/tkatsumi06j/n/…

《関連報道》デルタ株、水痘に匹敵する感染力　ＣＤＣの内部資料が警告 cnn.co.jp/usa/35174591.h… @cnn_co_jpより

《関連報道》デルタ株はインフルエンザより感染力が強い可能性。「戦況を変えた」と米CDCが警告 huffingtonpost.jp/entry/c-d-c-in… @HuffPostJapan

《関連報道》デルタ株、水ぼうそう並みの感染力ーＣＤＣ内部文書＝ＮＹＴ紙 reut.rs/3rMpCCX @ReutersJapan

《関連報道》デルタ株、水ぼうそう並みの感染力で深刻な疾病を引き起こす＝CDC内部文書 newsweekjapan.jp/stories/world/… @Newsweek_JAPAN

《関連報道》デルタ株　水疱瘡レベル非常に強い感染力か #日テレNEWS24 #日テレ #ntv news24.jp/articles/2021/…

訳者あとがき

何という資料なんでしょうか。
抄訳していて、戦慄を覚える内容でした。

今回のリークから、最近になってなぜ急にCDCがワクチン接種完了者にマスク着用を強く勧告するようになったのか、その背景が見えたと思います。

つまり #デルタ株 はそれ程の #ゲームチェンジャー だということ。日本政府もこのパラダイムシフトを真摯に受け止めざるを得ないということです。

「この文書は、科学者や専門家が何か月も前から主張してきたことを強調するものだった。」というワシントンポスト紙の主張は、事実です。

アメリカのフェイグルディン博士や、英国保健省がこれまで示してきたデータにも示されてきたことなのでデータ自体に対する「驚き」はありません。
threadreaderapp.com/thread/1403141…

ただ、米CDCに改めて「ファイザー接種者の場合でも75%が感染する」と言われると、流石に「衝撃」は大きいです。夫婦で接種を決めただけに。

https://twitter.com/tkatsumi06j/status/1414965490858872835

このシャーマン博士の文を読んで、軍事誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」の高橋浩佑氏にこのCDCのリーク文書を踏まえて菅総理に質問してもらっていたら、菅総理はどう応えていたのだろう。

会見の場でこの文書の存在を知らしめていたら、世間の危機感はより高まっていただろうと、思わずに居られませんでした。

https://twitter.com/granamoryoko18/status/1421076374303887371

最後のノイジル博士のこの結びの文は「コロナと徹底的に闘い続けなければならない」という意味であって、これまで一部標榜されてきた『ウィズコロナ 』とは真逆の発想と思いました。

《戦況》が変わったからコロナと「共存する社会」を目指すのではなく、身を削り合う凄惨な戦いに備えよという意味だと捉えました。まだまだこの戦い、気を抜けません。そう気持ちを新たにしました。

もうこれは、未来図ではなく、現実となったのです。

https://twitter.com/tkatsumi06j/status/1408381075068358659