#Shax_nichigei_1116 こんにちは。これから「古典演劇研究II シェイクスピア」の授業を始めます。今日は「シェイクスピア劇とジャンル」です。いろいろなジャンルについてお話したいと思いますので、履修登録者の皆さんは授業資料を用意してください。
#Shax_nichigei_1116 まずは質問です。世界最古の現存するミステリ戯曲は何でしょう?
#Shax_nichigei_1116 答えはソフォクレス『オイディプス王』(おそらく紀元前430年前後)です。このお芝居では(以下、犯人ネタバレあります!)、オイディプス王が自分が父を殺し母と結婚した犯人であることを知ります。
#Shax_nichigei_1116 シェイクスピアの『ハムレット』、ドストエフスキー『罪と罰』なども広義のミステリと見なせると思うのですが、一般的にはあまりそういうことが意識にのぼってきません。オススメのミステリは…と言われて『オイディプス王』と言う人はいませんね。
#Shax_nichigei_1116 すべて殺人がプロット上の大きな出来事で、『オイディプス王』と『ハムレット』は犯人捜し、『罪と罰』はいわゆる倒叙もの(犯人が主人公)なのでミステリっぽいんですが、このあたりをミステリの本棚に分類する人はあんまりいません。
#Shax_nichigei_1116 このへんからわかると思いますが、ジャンル分けというのはかなり恣意的で、古典には現代の小説や映画、戯曲を分ける際に適用するジャンル分けが用いられないこともあります。
#Shax_nichigei_1116 ジャンルって何でしょうか。Genre「ジャンル」の語源はラテン語のgenusで、「種類」「範疇」などを示します。Gender「ジェンダー」とかとおおもとの語源は同じです。作品などを一定の基準で分類したカテゴリをジャンルと言います。
#Shax_nichigei_1116 ジャンルの例としてはホラー、スリラー、コメディなどがあります。ジャンル「ホラー」の下には「スプラッタホラー」とか「サイコホラー」とか、サブジャンルがありますね。
#Shax_nichigei_1116 「分けることとは分かること」という言葉がありますが、分類・整理は調査をしたり新しいものに出会ったりするためには非常に役立つことである一方、(続)
#Shax_nichigei_1116 分けることによって「あるカテゴリは他のカテゴリより優れている」などの(多くは恣意的であまり根拠のない)上下の秩序ができてしまうこともあるので、注意が必要です。
#Shax_nichigei_1116 分けることの問題点としては、基準が恣意的だというのもあります。ひとつの作品が必ずしもひとつのジャンルだけにおさまるわけではありません。そのためにサブジャンルを運用したり、ひとつの作品に複数のジャンルを振ったりするわけですが、(続)
#Shax_nichigei_1116 ある作品を何のジャンルに分けるかは、人によってかなり違いがあります。たとえばアルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(1960)はホラーでしょうか、スリラーでしょうか?私もよくわかりません。どっちでもいいかも。
#Shax_nichigei_1116 あと、「悲劇/喜劇」みたいに物語の結末やトーンで分けるのと、「SF/ホラー」みたいに設定で分けるのは同じレベルの分け方ではないのですが、どちらもざっくり「ジャンル」と言います。これ、適切ですかね?
#Shax_nichigei_1116 あまり適切ではないし、相互に排他的でもないですね。ジャンル、ダメじゃん!
#Shax_nichigei_1116 さらなるジャンル分けの問題点としてマーケティング上の問題があります。著者などクリエイティヴな権限を持つ人が意識的にジャンル分けをしておらず、読者や観客、また宣伝をする人々がジャンル分けをすることも多いです。
#Shax_nichigei_1116 ジャンル分けをして宣伝することで、そのジャンルに親しんでいる観客を呼びこむことができる一方、そのジャンルに興味のない(一方で潜在的にそういう作品を好みそうな)観客を引きつけられないという問題があります。
#Shax_nichigei_1116 宣伝担当が恣意的なジャンル分けで宣伝を行い、観客の期待を裏切ったり、本来のファン層に宣伝が届かなかったりすることもあります。たとえば映画の宣伝で、SF映画やゾンビ映画であることをわかりにくくして宣伝する、とかですね。
#Shax_nichigei_1116 あと、コメディでも「感動大作」や「恋愛映画」であるかのように宣伝する、とかいろいろあります。
#Shax_nichigei_1116 受講生の皆さんは将来、舞台芸術を宣伝しないといけない機会も出てくるかもしれないと思いますが、ジャンル分けなどには気をつけて宣伝をしたほうがいいと思います。どういうターゲット層に自分の芝居を見て欲しいのか、考えてジャンル分けをしましょう。
#Shax_nichigei_1116 では第1幕としてシェイクスピアのジャンル分けのお話をします。『ハムレット』でポローニアスが芝居のジャンルについて話すところがあるのですが、(続)
#Shax_nichigei_1116 それによると'tragedy, comedy, history, pastoral, pastoral-comical, historical-pastoral, tragical-historical, tragical-comical-historical-pastoral’(Hamlet, 2.2.379 -82)などがあるそうです。
#Shax_nichigei_1116 「悲劇、喜劇、史劇、牧歌劇、牧歌喜劇、歴史牧歌劇、悲劇的史劇、悲劇的喜劇的歴史牧歌劇」などがあるそうです。最後のやつはそんなんあるかいなと思いますが、『冬物語』はそうじゃないかな…
#Shax_nichigei_1116 1623年に出たシェイクスピアの初めての全集である通称『ファースト・フォリオ』では、Tragedy(悲劇)、Comedy(喜劇)、History(史劇)の三つに全ての芝居が分類されております。
#Shax_nichigei_1116 しかしながらフォリオでは「悲劇」になっている『トロイラスとクレシダ』がクォートでは「史劇」になっていたり、かなりあいまいなところがあります。『トロイラスとクレシダ』はたしかにちょっと説明しづらい話ですからね。
#Shax_nichigei_1116 基本的にわりと身分の高い登場人物が中心で、人が死んで終わる結末のものが悲劇、死なないで結婚やそれに類する男女の和解などで終わるものが喜劇、英国史を扱ったものが史劇です。史劇は登場人物の死で終わるものもありますが、悲劇に分類されていません。
#Shax_nichigei_1116 「喜劇」というと吉本新喜劇などのイメージで「お笑い」「コント」を想像する人が多いですが、演劇で「喜劇」というとコミカルだがストーリー性のあるものを指すことが多いです。一方で始終ナンセンスに笑えるやつは「笑劇」(Farce)と言うことがあります。
#Shax_nichigei_1116 喜劇に分類されるのが『間違いの喜劇』『恋の骨折り損』『夏の夜の夢』『お気に召すまま』『から騒ぎ』『十二夜』『ヴェニスの商人』『ヴェローナの二紳士』『じゃじゃ馬ならし』『ウィンザーの陽気な女房たち』『尺には尺を』『終わりよければ全てよし』『冬物語』『テンペスト
#Shax_nichigei_1116 悲劇に分類されるのが『タイタス・アンドロニカス』『ロミオとジュリエット』『ジュリアス・シーザー』『ハムレット』『トロイラスとクレシダ』『オセロー』『リア王』『アテネのタイモン』『マクベス』『アントニーとクレオパトラ』『コリオレイナス』『シンベリン』
#Shax_nichigei_1116 史劇に分類されるのが『ジョン王』『リチャード二世』『ヘンリー四世』(第一部及び第二部)『ヘンリー五世』『ヘンリー六世』(第一部~第三部)『リチャード三世』『ヘンリー八世』です。(フォリオにない作品は含まず)
#Shax_nichigei_1116 ただ『シンベリン』は悲劇っぽくない上に本来はシンベリンがあんまり大きい役じゃないなど、いろいろファースト・フォリオのタイトルと分類には問題があります。
#Shax_nichigei_1116 ファースト・フォリオの分類は使いやすくないので後世の研究者はいろいろ別の分け方をします。たとえば後期のいろんなことが起こる悲喜劇的作品はロマンス劇と呼ばれ、『ペリクリーズ』『シンベリン』『冬物語』『テンペスト』(『二人の貴公子』を入れることも)が含まれます
#Shax_nichigei_1116 古代ローマ史が主題のものはローマ劇と呼ばれます。『タイタス・アンドロニカス』『ジュリアス・シーザー』『アントニーとクレオパトラ』『コリオレイナス』が該当します。
#Shax_nichigei_1116 それから問題劇というのがありまして、これは観客が善悪や結末の判断に困るような複雑な倫理艇問題を提起して終わるような芝居です。ふつう『トロイラスとクレシダ』『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』はこれに入れますが、(続)
#Shax_nichigei_1116 私の知る限りでは『アテネのタイモン』『ヴェニスの商人』『じゃじゃ馬ならし』『冬物語』『アントニーとクレオパトラ』『ジュリアス・シーザー』『コリオレイナス』なども問題劇と呼ばれたことがあります。
#Shax_nichigei_1116 シェイクスピア劇はあんまり統一されたトーンで展開しません。悲劇にも道化が出てきたり、主人公たちが笑える台詞を言う箇所が必ずあります。喜劇にもかなりショッキングな場面があったりします。
#Shax_nichigei_1116 たとえば『マクベス』には地獄の門番の場面というのがありまして、城の門番が面白おかしい一人芝居みたいなのをするところがあります。『ハムレット』に出てくるハムレットはかなり面白いことをたくさん言う人です(演出によってはすごくユーモアある人になります)。
#Shax_nichigei_1116 『ロミオとジュリエット』は構造が全体的に恋愛喜劇みたいである上(かわいそうな恋人たちに困難を乗り越えて一緒になってほしい…と思っていたら怒濤のバッドエンドがきますが、最後の瞬間まで喜劇になる可能性がある作品です)、下ネタ満載でジュリエットも冗談を言います。
#Shax_nichigei_1116 『アントニーとクレオパトラ』はヒロインのクレオパトラがかなりユーモアのある人で宮廷の面々も面白おかしいことが好きだし、最後に自殺するクレオパトラのところへ道化が毒蛇を差し入れる場面なども笑えます。
#Shax_nichigei_1116 ベルトルト・ブレヒトが「笑うところのない芝居はお笑いぐさな芝居である」Bertolt Brecht, The Messingkauf Dialogues, translated by John Willett (London: Methuen, 1965)と言ってますが、これは舞台では真だと思います。
#Shax_nichigei_1116 イギリスの芝居は伝統的にユーモアには重きを置いていると思いますが、古典でも現代劇でも、かなり深刻な内容のものであっても笑えるところがだいたいちょっとはあります。
#Shax_nichigei_1116 ここで教員が暴言を吐きますが、正直、2時間以上も真面目な顔して人間が動くのを見てるのってけっこうキツいと思います。大変シリアスな芝居でも、シリアスな展開の前に笑うところがあって落差がある…みたいでないと展開がのっぺりしがちです。
#Shax_nichigei_1116 次は近世イングランドのお芝居のジャンルについてもう少し広い視点でお話します。17世紀頃の芝居の流行ジャンルとしては、現代の研究者による恣意的な分類ではあることに注意が必要ですが、復讐悲劇、家庭悲劇、悲喜劇、都市喜劇、気質喜劇、風習喜劇などがあります。
#Shax_nichigei_1116 復讐悲劇 (Revenge Tragedy)は殺人などの被害者の恨みを晴らすため、家族や恋人などが犯人に対する復讐を計画し、多くの場合は犯人もろとも復讐者も死んでしまうという芝居です。非常に残虐なものも多いです。かなり好まれていたようで、多数執筆されました。
#Shax_nichigei_1116 復讐自体はギリシア悲劇の時代から演劇の主要テーマの一つとして好まれてきたもので、日本の歌舞伎などにも復讐を主なあらすじとする作品は多数あります。復讐ものは長きにわたって世界中で好まれてきた定番エンタテイメントのひとつです。
#Shax_nichigei_1116 トマス・キッド『スペインの悲劇』を嚆矢とし、シェイクスピアの『ハムレット』や(おそらく)ミドルトン作の『復讐者の悲劇』などがこのカテゴリに入ります。たいがい宮廷が舞台で、政治的腐敗への批判が織り込まれています。
#Shax_nichigei_1116 少なくとも近世イングランド演劇における復讐というのは単なる個人間のトラブルの話ではないことに注意しましょう。なぜ復讐をしなければいけないかというと、主人公がいる場所が腐敗していて正しい裁きが行われないからです。
#Shax_nichigei_1116 『ハムレット』が父の復讐をしたいと思っているのは、単に殺人犯が個人的に憎いからではなく、王である父を殺し、不正な手段で父と自分のつくべき地位を奪った者が王冠をかぶって国を率い、裁かれずにのうのうとしているからです。
#Shax_nichigei_1116 次は家庭悲劇(Domestic tragedy)にいきましょう。家庭悲劇は主に平民の家庭を舞台に、不倫や夫婦の不仲などを描く悲劇です。通常、高い身分の人々を主人公とすることが多い悲劇に比べると、そこそこリッチではあってももっと卑近な階級の人々を扱っています。
#Shax_nichigei_1116 都市喜劇と違い、地方を舞台にしていることも多いです。代表的な作品のひとつである『フェヴァシャムのアーデン』(Arden of Faversham、1592)はアリス・アーデンが愛人と結託して夫を殺害したという実話が材源で、なんかまあ週刊誌ゴシップみたいなのをネタにした芝居ですね。
#Shax_nichigei_1116 『フェヴァシャムのアーデン』は著者が不明で、シェイクスピアも著者候補のひとりとしてあげられたことがありました。
#Shax_nichigei_1116 それ以外にはトマス・ヘイウッド『優しさで殺された女』(A Woman Killed with Kindness)とか、これまた実話をヒントにしたデッカー、ロウリー&フォード『エドモントンの魔女』(The Witch of Edmonton、魔女劇ですが結婚詐欺の話を含む)があります。
#Shax_nichigei_1116 家庭悲劇の例外的なものとして、登場人物の身分が高いエリザベス・ケアリ『メアリアムの悲劇』(The Tragedy of Mariam)やシェイクスピア『オセロー』(Othello)などがあります。このへんはかなり家庭悲劇に近いですが政治なども絡みます。
#Shax_nichigei_1116 このへんの家庭悲劇の裏には女性の地位が低かったという事情があります。性道徳のダブルスタンダードがあり、女性の場合、婚前交渉が禁止で、未婚・既婚にかかわらず夫以外の男性と性交渉を持つと‘Whore’「娼婦」と呼ばれて社会的に排斥される可能性がありました。
#Shax_nichigei_1116 男性の場合、表向きは婚前交渉はダメということになっていましたが、実際は買春や不倫などを行っても社会的に許容されてしまう素地がありました。ダブルスタンダードだわセックスワーカー差別だわ、今からするとひどい話ですが、女性の不倫が芝居で大問題になるこのせいです。
#Shax_nichigei_1116 宗教文化にかかわる性差別もあり、聖書に基づいて教会での女性の沈黙や夫への服従を説く宗派もありました(これはかなり宗派などに左右され、女性が説教する宗派とかも出てくるのですが)。キリスト教の影響で離婚が極めて難しかったのもあり、これが家庭悲劇につながります。
#Shax_nichigei_1116 家庭悲劇には離婚制度が発達していれば起こらなそうな展開のものもあります。離婚がめちゃくちゃに難しいという法制度的な問題は、この後19世紀までイギリス文学にしょっちゅう出てくる重要な社会背景のひとつです。
#Shax_nichigei_1116 悲喜劇(Tragecomedy)にいきましょう(すいません、これスライドの真ん中に関係ない引用がありますが削除しといてください)。この時期にトーンが一定した芝居というのはむしろ少ないのですが、悲喜劇は悲劇と喜劇を融合させたより高次のジャンルであるという考えもあります。
#Shax_nichigei_1116 シェイクスピアやジョン・フレッチャーの芝居には悲喜劇といえそうなものもかなりあります。あと、用語としてDramedy(ドラメディ、drama+comedy)というのがありますが、これは現代劇の悲喜劇っぽいジャンルを指す時に使われますね。
#Shax_nichigei_1116 都市喜劇(City Comedy)というの文字通り都市が舞台の市民を描いた喜劇です。ロンドン市民を諷刺する内容であることも多く、ロマンスやお祭りなどがからみます。代表的なものとしてはデッカー『靴屋の祭日』などですね。
#Shax_nichigei_1116 シェイクスピアの戯曲の中では『ウィンザーの陽気な女房たち』が一番都市喜劇に違いですが、ウィンザーが舞台だし、これはシェイクスピア劇としては例外的な現代劇でいろいろ規格外な感じの作品です。
#Shax_nichigei_1116 都市喜劇の中には色と欲にかられるロンドンの人々たちを辛辣に描いたものもあります。ベン・ジョンソンの「気質喜劇」やミドルトン『チープサイドの貞淑な乙女』などが例です。
#Shax_nichigei_1116 『チープサイドの貞淑な乙女』は私は一度だけ上演(ストラトフォード・アポン・エイヴォンの学校の少年劇団エドワード・ボーイズによるもの)を見たことがあるのですが、女性の妊娠を請け負う孕ませ屋(?)と寝取られ男が右往左往する下ネタと諷刺満載の複雑な話です。
#Shax_nichigei_1116 都市喜劇はこういうかなりきわどい内容のものもけっこうあるし、脇筋みたいなのが複雑で、見ていてわりと混乱します(私は留学中『チープサイドの貞淑な乙女』を見てた時、休憩時間にネイティヴスピーカーのクラスメイトから話の内容確認の質問をされました。それくらい複雑)。
#Shax_nichigei_1116 今出てきた、ベン・ジョンソンのお得である気質喜劇(Comedy of Humours)はこの当時の四体液説というのにのっかったお話です。人間の性格とか健康とかはFour humours(四体液)のバランスで決まるというような考えがこの頃はありました。
#Shax_nichigei_1116 四体液はBlood(血液)、Phlegm(粘液)、Yellow bile/choler(黄胆汁)、Black bile/melancholy(黒胆汁)です、血液多めの多血質は勇敢で好色、粘液多めの粘液質は冷静でじっとり、胆汁多めの胆汁質は怒りっぽく、黒胆汁多めの憂鬱質は鬱です。
#Shax_nichigei_1116 気質喜劇は、こうした体液に関わる特徴をそなえた人々が登場する喜劇です。ベン・ジョンソンの『十人十色』(Every Man in his Humour)、『ヴォルポーネ』(Volpone)、『エピシーン』(Epicene)、『錬金術師』(The Alchemist)などは登場人物の名前が性質を象徴します。
#Shax_nichigei_1116 それから風習喜劇(Comedy of Manners)にいきましょう。ステレオタイプ的なストックキャラクターなどをふんだんに使いながら社会を諷刺する芝居で、恋愛が中心的プロットであることも多いです。都市喜劇、気質喜劇の影響を受けて成立しています。
#Shax_nichigei_1116 シェイクスピアの『から騒ぎ』や『恋の骨折り損』がイングランド最初期の風習喜劇と言われており、その後の王政復古期に大流行します。18世紀以降も新作が書かれ、上演されています。
#Shax_nichigei_1116 近世イングランド演劇のジャンル分けとしてはこのへんをおさえておけばいいと思うのですが、最後にひとつ。現代の映画とかを分類するジャンル名で古典の舞台芸術を分類したらどうなるでしょう?
#Shax_nichigei_1116 という発想から、教員が現代のジャンル名で分類したのがこちらです。悪魔が「悪摩」になってるは無視してください(!)。けっこうエロティックスリラーとか政治スリラーと言ったほうがよさそうな芝居もあります。 Image
#Shax_nichigei_1116 それでは本日の授業はこれで終わりです。来週は休日で授業がないので気をつけてください。履修者の皆さんはグーグルクラスルームの課題をやってください。それではまた。

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