#Shax_nichigei_1221 こんにちは。これから「古典演劇研究II シェイクスピア」第12回「シェイクスピアの受容」の授業を始めます。
#Shax_nichigei_1221 今日はツイッターで実施する最後の授業となります(以降はZoomになります)。このため、担当教員の研究分野(あるいは趣味)に密接した専門的な話をちょっとして終わりにしたいと思います。
#Shax_nichigei_1221 担当教員はふだんはシェイクスピアの受容とジェンダーをテーマに研究しております。まあ、マーケティングとかファンコミュニティの研究に近いものですね。
#Shax_nichigei_1221 プロローグとしてまず正典化の話をします。18世紀以降、シェイクスピアの正典化(canonisation)が行われたわけですが、正典化というのは文学の中でみんなが読むべき「傑作」とされるもの、キャノン(正典)を制定するプロセスです。
#Shax_nichigei_1221 つまり、なぜ私がこの授業でシェイクスピアを教えるようになったのかという話でもあるわけなのですが、「傑作」を決定するプロセス、正典化というのは実は極めてダイナミックなプロセスです。一度誰かがホイっと決めて終わりではありません。
#Shax_nichigei_1221 古典はなんで古典になったのでしょうか?これには権力が絡んでいます。強い政治権力にバックアップされたものは広がりやすいです。シェイクスピアが世界中で上演されている一因は大英帝国が世界で英語教育をしてその中にシェイクスピアが組み込まれていたことですね。
#Shax_nichigei_1221 しかしながら、正典なんて政治権力の産物だと言ってしまうと、今度は価値付けとか作品がもたらす快楽、ある作品を正典にするために活動してきたファンダムの愛情とかが見えなくなります。この鬱陶しくもとらえがたい、作品をめぐる愛情が私の研究テーマのひとつです。
#Shax_nichigei_1221 ある時代にもてはやされた作品が次の時代には忘れられたり、逆にある時代には忘れられていた作品が次の時代には再評価されたりすることもあります。正典化は権力と価値付けと快楽と愛情が絡み合い、常に流動するダイナミックな泥沼のプロセスです。
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピアの場合、18世紀頃からバードラトリー(bardolatry)と呼ばれるシェイクスピア崇拝がすごくなりました。bardは「詩人」って意味ですが、the+大文字で始めてthe Bard「うたびと」と書くとこれだけで英語ではシェイクスピアを指せます。
#Shax_nichigei_1221 18世紀頃からのシェイクスピア評価はイギリスのナショナリズムとの結びつきがキーになるのですが、これについてはリンダ・コリー『イギリス国民の誕生』川北稔、名古屋大学出版会、2000などを参照してください。
#Shax_nichigei_1221 その後は当然、帝国主義によるシェイクスピアの広がりがあります。今日はそのへんにも触れます。
#Shax_nichigei_1221 本日の授業はプロローグの後「第1幕 シェイクスピア研究の始まり」、「第2幕 シェイクスピアを祝う」、エピローグとなります。今日の話は教員の著作である『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たちー近世の観劇と読書』(白水社、2018)に大部分が基づいています。
#Shax_nichigei_1221 「第1幕 シェイクスピア研究の始まり」ですが、とりあえず現存する最古のまとまったシェイクスピア批評はマーガレット・キャヴェンディシュによる『社交書簡集』(1664)に収録されたものです。女性キャラクターを褒めたりしています。
#Shax_nichigei_1221 マーガレット・キャヴェンディシュはこの時代の女性としては大変特殊で、前衛的でもありました。哲学者であり、SF作家であり、劇作家であり、詩人であり、批評家です。シェイクスピアからはかなり影響を受けていたと思われます。
#Shax_nichigei_1221 現在の「シェイクスピア研究」につながるものは18世紀に登場しました。これについてはArthur Sherbo, Birth of Shakespeare Studies: Commentators from Rowe (1709 to Boswell-Malone), Colleagues Press, 1986といういい本が出ています。
#Shax_nichigei_1221 1709年、ニコラス・ロウ編集による最初の近代的なシェイクスピア作品集が刊行されます。これ以降、編者は大きい役割を果たすことになり、18世紀にはアレクサンダー・ポープとかサミュエル・ジョンソンとか、そうそうたる文人がシェイクスピアを編集しました
#Shax_nichigei_1221 皆さん編者とかあんまり気にしないかもしれませんけど、編者がいないと芝居をするためのテクストも確定できないんですよ。編者は古典、とくに上演するための戯曲の古典を本にする時にはとても大事です。根気強くテクストと向き合える人しかなれません。
#Shax_nichigei_1221 それから作家のシャーロット・ラムジー・レノックスが『シェイクスピア解明』(1753-54)を出しますが、これは最初の本格的なシェイクスピアの材源研究だと言われています。シェイクスピアが元ネタにした話などを研究する材源研究は今も盛んです。
#Shax_nichigei_1221 レノックスは小説家で、『女キホーテ』というなんか18世紀版涼宮ハルヒみたいな小説を書いています(教員の個人ブログに感想があります)。
saebou.hatenablog.com/entry/20121005…
#Shax_nichigei_1221 それからサミュエル・ジョンソンが1755年に最初の本格的な英語辞典を出していますが、ジョンソンはシェイクスピア研究もしていました。これ以降、辞書の例文にシェイクスピアはひたすら引用されるようになります。
#Shax_nichigei_1221 サミュエル・ジョンソンは18世紀ロンドンを代表する文人です。このジョシュア・レノルズによる人間味(学者味)あふれる肖像画がネットで有名ですね。
commons.wikimedia.org/wiki/File:Samu…
#Shax_nichigei_1221 この当時は今みたいにアマゾンで何でも本が注文できる時代ではありませんし、本を手に入れるだけで大変でした。研究仲間同士で本を貸し借りしたり、いろいろなことをして研究用の本を工面していたようです。
#Shax_nichigei_1221 帝国主義の時代になると、シェイクスピアがどんどん世界に広まります。ブリテン諸島の人々が北米やオーストラリア、ニュージーランドなどに移民したり、植民地を広げてそこで英語教育を行ったりすることにより、イギリスの正典としてのシェイクスピアが広がります。
#Shax_nichigei_1221 国際的の広がりの例ですが、現在、シェイクスピアのファースト・フォリオを一番たくさん持っている図書館はアメリカにあります。ワシントンDCのフォルジャー・シェイクスピア図書館が82冊所蔵しています。なお、二番手は日本の明星大学で12冊所蔵しています。
#Shax_nichigei_1221 また、かつてイギリスの植民地だった地域はもちろん、ロシア・中東欧などでもシェイクスピアは盛んに上演されています。たとえばルーマニアではクラヨーヴァ・シェイクスピア祭をやってますね(教員は行ってみたいと思っているのですがまだ行ったことがありません)。
#Shax_nichigei_1221 ここで教員が博士論文を書いている時、本を探しにわざわざニュージーランドまで行った話をしたいと思います(そういう雑談もたまには面白いかと…)。2011年の6月、もう10年前のことになりますが、学会でニュージーランドに行ったんですよ。
#Shax_nichigei_1221 学会のついでにオークランド市立図書館でシェイクスピアのフォリオを見せてもらうことになりました。そこでなんかあやしいシェイクスピアのサードフォリオを見つけたんですよ。書き込みがいっぱいあって、メモがついてるんです。
#Shax_nichigei_1221 メモによると、このサードフォリオはオクスフォードにいたホーキンズ夫妻というカップルがシェイクスピア全集の校訂のために使用した本だというではありませんか。なんでオクスフォードの住民の本がこんなところに。謎を探るべく教員は史料の山に分け入りました。
#Shax_nichigei_1221 調べたところ、18世紀に作品集の校訂に使用されていたようですが、ポイントはホーキンズさんの妻メアリーが校訂メモの一部を書いたらしいということです。女性が校訂を手伝っていたという事例は、なくはないですけどちゃんと史料があるのは貴重ですからね。
#Shax_nichigei_1221 教員は翌週、ホーキンズ家の子孫が住んでいたというエウェルム・コテージという古民家に行きました。こんな感じのかわいい古民家です。
#Shax_nichigei_1221 ここで史料を調べさせてもらったところ、いろいろなことがわかりました。
#Shax_nichigei_1221 オークランド市立図書館にあった書き込みのたくさんあるサード・フォリオの来歴ですが、オクスフォードのトマス・ホーキンズとメアリ・リーヴァー夫妻が1770-1771年に発表したシェイクスピア全集第二版の校訂のために使用されたことがわかりました。
#Shax_nichigei_1221 夫妻の蔵書は息子ヘンリーと娘シャーロットに遺贈され、さらに祖父母の蔵書をヘンリーの娘ブランチ(ヴァイセシムス・ラッシュ夫人)が相続しました。そしてラッシュ夫妻が1850年にブランチの祖父母の蔵書を持ってオークランドに移民してきました。
#Shax_nichigei_1221 祖国から遠く離れる時に、わざわざおじいさんおばあさんの蔵書を家族の記念碑として船に積んで持ってきたわけです。『ピアノ・レッスン』という、ニュージーランドにピアノを持って移民してくる女性の映画がありますが、ちょっとあれみたいですね。
amzn.to/30KWYcm
#Shax_nichigei_1221 史料調査の結果、ホーキンズ家蔵書の散逸を示したのがこの図です。オークランドに持ち込まれた他、蔵書の一部はホーキンズ家の研究仲間と思われるトマス・パーシーとトマス・ウォートンの所蔵になっていました。おそらく研究仲間で本のやりとりをかなり頻繁にしていたのでしょう
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピア研究者はこういうふうに18世紀から、仲間同士で本を融通したり、アドバイスをしあって研究を続けてきました。女性も意外とかかわっています。その線の端っこに私のような末端の研究者もいるわけです。
#Shax_nichigei_1221 研究の話の次はお祭りの話にいきましょう。すいません、なんか見出しがちょっと変ですけど、第2幕は1769年のシェイクスピア・ジュビリー祭の話をします。
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピア・ジュビリー祭は舞台の大スターでシェイクスピア普及に大いに貢献したデイヴィッド・ギャリックがシェイクスピアの故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンで主催した最初のシェイクスピア祭りです(1769年9月6日~8日)。近代最初のファン大会と言える催しです
#Shax_nichigei_1221 今のシェイクスピア祭は上演をやるのがメインですが、この時の祭にはシェイクスピアの芝居の上演は一切ありませんでした。18世紀のイギリス演劇って大がかりで、シェイクスピアを本式でやろうと思ったらかなりちゃんとした劇場が必要だったんです。
#Shax_nichigei_1221 今でこそロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの本拠地であるストラットフォード・アポン・エイヴォンですが、当時はたくさんの観客を収容して普通に上演もできる大きな小屋がありませんでした。
#Shax_nichigei_1221 このため上演はなく、仮装舞踏会やちょっとしたエンターテイメント、シェイクスピアの礼賛スピーチなどがプログラムのメインでした。ちなみに入場券が残っていてこちらで見ることができます。
collections.vam.ac.uk/item/O1160051/…
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピア・ジュビリー祭の様子ですが、仮装行列の絵が残ってます。
collections.britishart.yale.edu/catalog/tms:25…
#Shax_nichigei_1221 仮装にはご婦人方も腕によりをかけて参列しました。ペンブルック及びモンゴメリ公爵夫人エリザベス・ハーバート、ラヴィントン男爵夫人フランセス・ペイン(ドイツ系)、クルー男爵夫人フランセス・アンナがマクベスの三人の魔女の扮装で参加したそうです。
#Shax_nichigei_1221 魔女コスプレは人気だったのか、エリザベス・ハーバートにかわってヘンリエッタ・ブーヴェリが残り二人と魔女の扮装をした夜もあったようです。
#Shax_nichigei_1221 フランセス・アンナ・クルーとヘンリエッタは「ロマンティックな友情」で有名で、二人を描いた肖像画とかも残っています。
britishmuseum.org/collection/obj…
#Shax_nichigei_1221 それでこのマクベスの魔女コスプレ、ホラーっぽくて怖いというよりは、若い貴婦人がやる時はまあ今で言う魔女っ子コスプレに近いものだったようで、キレイめの魔女だったようです。
#Shax_nichigei_1221 『マクベス』の魔女のコスプレは女性に人気があったようで、のちにデヴォンシャ公爵夫人ジョージェイナなどもやっています(下の絵がそれです)。キレイめでしょ?
commons.wikimedia.org/wiki/File:The_…
#Shax_nichigei_1221 この絵はジュビリーの時のものではなく、ちょっと後の時代なのですが、もう魔女コスプレというのはこの時代からあったんですよ。
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピアの上演がないのもあり、ジュビリーではみんなシェイクスピアをだしにして好きに楽しんでいました。スコットランドの著名な文人ジェームズ・ボスウェルは全然シェイクスピアに関係ないコルシカの戦士の扮装で出席しました(コルシカ独立運動の熱烈な支持者だったので)
#Shax_nichigei_1221 同じくスコットランドの女性詩人クリスティアン・カーステアーズ(ニンフに仮装)がボズウェルに詩を捧げているんですが、「ええ、この花の川辺に留まって下さい、/あれほど自由を愛したシェイクスピアの魂とともに」(Original Poems, 1786)とか(続)、
#Shax_nichigei_1221 「それシェイクスピアに関係なくない?」みたいな感じでとってつけたように詩にシェイクスピアの名前を出していて、なんかあんまりシェイクスピアは関係なく、同郷人同士でシェイクスピアをだしにして楽しんでいたようです。
#Shax_nichigei_1221 祭があれば土産も売られます。メアリ・ディレイニーというバルストロードに住んでいたブルーストッキングの芸術家が、1769年9月17日に姪でジュビリーに参加したメアリ・デューズに、「シェイクスピアリボン」を送って欲しいと手紙でお願いしています。
#Shax_nichigei_1221 このシェイクスピアリボンなるものはジュビリーで人気のあった土産物で、近郊のコヴェントリーで作られ、シェイクスピアの多様な才能を示す虹色をしていました(強引…)。下の記事リンク先で見られます。
shakespeare.org.uk/explore-shakes…
#Shax_nichigei_1221 このジュビリーは開始前から雑誌などで大々的に報道されました。18世紀なので既に定期刊行物がたくさん出ているし、読める人もかなりいます。終了後、シェイクスピア・ジュビリーで行われたギャリックのスピーチや披露された歌などをはじめとして、多数の関連出版物が出回りました
#Shax_nichigei_1221 ギャリックはジュビリー用に計画していた演目をロンドンのドルリー・レーンに移して上演しました。
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピア・ジュビリー祭の周りには、活字、上演、二次創作、参加型エンタテイメントなど多数のメディアを組み合わせたシェイクスピアのプロモーションと、ファン層の広がりが観察できます。海外にも報道され、遠くからお客さんが来ましたからね。
#Shax_nichigei_1221 ストラットフォード・アポン・エイヴォンはこの後、「聖地化」されます。シェイクスピアの生まれた故郷として観光地化され、生家保存運動やらなんやらが起こり、今ではイングランド屈指の観光地です。
#Shax_nichigei_1221 シェイクスピアの正典化プロセスは近代的なファンダムの成立過程として見ることが可能です。批評研究、翻案、教育への組み込み、お祭やファン大会、聖地巡礼などなど、現代のファン文化に通じるものの萌芽が既に18世紀に見受けられます。
#Shax_nichigei_1221 エピローグとして、「正典」は権力関係やマーケティングの成功の産物なのかという話をちょっとだけ拾います。正典化に政治権力やマーケティングがかかわっているのは間違いないのですが、私が言いたいのは、正典化されたものにとことん無価値なものはあまりない、ということです。
#Shax_nichigei_1221 正典に組み込まれていない作品の中にも面白いものはたくさんありますが、一方で正典として長く残ってきた作品で徹頭徹尾つまらないというものはそんなに無いと思います(皆無ではない)。
#Shax_nichigei_1221 ちなみに私は仕事なので正典に組み込まれていない近世イングランドの芝居とかもけっこう読んだことがありますが、驚くほどつまらんものも多いです。一方でシェイクスピアとかマーロウの作品は、そこまでつまらんのは少ないです。
#Shax_nichigei_1221 私見ですが、面白いものは必ず正典になるとは限りませんが(権力とかいろいろな条件がかかわってくるので)、何か面白いところがないと正典にはならないし、正典の中に完全につまらないものは少ないと思います。正典というのは変動する外れなしリストだと思えばいいと思います。
#Shax_nichigei_1221 そういうわけで、正典についてかなりざっくりしたお話をして今回の授業は終わりにしたいと思います。本日はグーグルクラスルームの課題はありません。
#Shax_nichigei_1221 次回以降はZoomディスカッションになりますので、日芸の登録履修者の皆さんは来年に入ったらグーグルクラスルームのお知らせを確認してください。ZoomのURLなどを連絡します。
#Shax_nichigei_1221 履修登録者でない皆様、半年間のご聴講ありがとうございます。
もしも我ら影法師がお気に召さぬとあらば
まぼろしが現れる間に
ここでただまどろみに夢を見たと考えて
お許し下さいませ。
#Shax_nichigei_1221 それでは皆様、おやすみなさいまし
お友達になってくださるなら、お手に喝采をお願いします
そうしてくださればパックもお礼をいたします。

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