#数楽 「ε-Nやε-δにも触れることが多い」程度であれば、偏ったサンプルの元でなら、大学1年生の講義で「習う」というのが大勢と言って良いかも知れませんが、現実にはほとんど触れない場合も多いと思います。

多分長くなるので、引用RTにしました。続く
#数楽 ε-Nやε-δ以前の問題として、高校での微積分のカリキュラムには沢山の問題があります。大学1年生向けの微積分の講義の最低目標は「その修正」です。

例えば、積分を不定積分で導入して、定積分を "F(b) - F(a)" で導入するのは、積分の実用的な応用の観点から見ても相当に酷いと思います。続く
#数楽 実用的観点から重要な無限区間での積分が高校の数学のカリキュラムではなぜか教えないことになっているようです。

Gauss積分、ガンマ函数、Fourier変換、Laplace変換などの応用上知らないと確実に困る事柄がごっそり高校数学での微積分から抜け落ちている。
#数楽 さらに極限を求める問題を解くだけで終わっているケースが多いことも高校での極限の教え方の問題点だと思います。

現実世界で極限を使った近似を使う場合には、収束の速さの大雑把な見積もりが必須です。

単に収束先の値が求まるだけでは実用になりません。
#数楽 ε-Nやε-δを、「論理的に厳密に解析学の理論を作る方法」だと思ってしまうのではなく、「どのような状況で誤差の大きさがどうなるのかの見積もる方法」とみなせることは、数学を実用的に使う人達への微積分を教えるときにとても重要だと思います。
#数楽 第0近似、第1近似、…と近似の精度を高めて行くことは、Taylorの定理で扱います。高校の数学の教科書の中には巻末にTaylorの定理の解説が載っているものがありますが、高校のときに教わらない人も多いでしょう。

第0近似、第1近似、…のように言って通じないようだと、話が通じなさすぎて困る。
#数楽 単純な極限や1変数函数の微積分に限っても、高校で標準的に教わる解析学の内容が、おかしなスタイルになっていたり、応用上重要な項目がごっそり欠けていたりするので、その修正が必要です。
#数楽 大学1年生向けの講義を担当したときに、よくされる質問は「テイラー展開がいきなり○○の時間に出て来たのですが、あれは何ですか?」です。説明が何もされていないらしい。

大学の授業にはそういう乱暴な所もあるので、学生を助けるための講義や本の∃はとても重要。
#数楽 Taylorの定理(誤差の大きさを評価するための剰余項付きの定理が好ましい)の証明は何通りもあって、どれでも説明するかは悩む所です。

しかし、なぜか「たくさん微分してたくさん不定積分すればもとの函数に戻る」というほぼ自明に近い証明が書いてある教科書が見当たらない。
#数楽 非常にけしからんことに、大学1年生向けの微積分の教科書に書いてあるテイラーの定理の証明は、他の教科書からのコピー&ペーストになっていることが多いように思えます。

みんなが全部自分で考え直して教科書を書いているなら、ほぼ同じ内容の分かりにくい説明の方が多数派になっていないはず。
#数楽 線形代数の教科書ならば自信を持って勧められる教科書があるのですが、大学1年生向けの微積分の教科書だと自信を持って勧められる教科書が見当たりません。

そして、書くのは滅茶苦茶大変だとも思っています。

内容の選択肢が多過ぎる。
#数楽 訂正

❌大学の授業にはそういう乱暴な所もあるので、学生を助けるための講義や本の∃はとても重要。

⭕️大学の授業にはそういう乱暴な所もあるので、学生を助けるための講義や本の存在はとても重要。

「そんざい」→「∃」を辞書登録しているのでこうなった。
#数楽 誤差の大きさの見積もりについて

例えば、高校で (1 + 1/n)ⁿ がn→∞で収束することを習いますが、その一般化である(1 + x/n)ⁿ → eˣは、二項分布のポアソン分布への収束などで使われ、誤差がどの程度になるかは応用上知っておいた方がよいことです。

これはテイラー展開の応用で分かる。
#数楽 xを固定して、

f(h) = (1 + xh)^{1/h}

とおき、h→0のときf(h)がどのように振る舞うかを知りたい。

この問題をf(h)に直接二項展開を適用して解決しようとすると苦しむことになります。

興味が湧いた人は苦しむ経路を実際に試すと楽しめます。続く
#数楽

log f(h) = (1/h)log(1 + xh)

でlog(1 + X)のX=0でのテイラー展開を使えば log f(h) のh→0での振る舞い方が容易に分かり、その指数函数(のテイラー展開)として、f(h)の振る舞い方も分かります。

これも自分でやると楽しめるはず。
#数楽 高校で習う「(1 + 1/n)ⁿ がn→∞で収束すること」についても、以上のような理解を深める知識のアップデートが必要です。

すべての項目について、他人が書いた教科書のコピー&ペーストをもとに「考える」のではなく、応用上さらに何が重要かを考えて行くと、これは大変なことだと分かります。
#数楽 このスレッドで言いたかったことは、大学1年生向けの微積分の内容をε-δ抜きに「高校数学+α」でまとめようとした場合であっても、

 「+α」の部分が相当に大変なことになってしまうはずだ

ということです。

洒落にならないくらい大変。
#数楽 (1 + h)^(1/h) / e の h = 0 でのテイラー展開の様子のグラフ。(1 + h)^(1/h)はh=0まで解析函数として延長できます。

グラフを描くことはとても重要で、この辺もどうやって教えたらいいのかよく分からない。

ひとまず、WolframAlphaを勧めておくか、という感じ。

wolframalpha.com/input/?i=serie… Image
#数楽 (1+x)^{1/x}関連

確率統計がらみの計算は対数をとった状態でやった方が見通しがよくなったり、本質が見え易くなったりすることがよくあり、この計算はそのような場合への入門的役割を果たすものになっています。
#数楽 極限の問題についても「収束先の値を求めるだけでよい」と考える癖がついてしまうのはまずいので修正が必要になります。

「h→0でのf(h)の振る舞い方を知りたい」のような考え方もできるようになることが好ましいです。「振る舞い方」という発想ができれば収束していない場合も扱える。
#数楽 数学的記号法については、高校でデタラメを教わっている可能性に注意する必要があります。例えば

❌dy/dxは分数ではないので「dx分のdy」と読んではいけない

というデタラメを教わってしまった人達は非常に沢山いるように見えます。

この点も大学生向けの講義で修正が必要です。
#数楽 他にも

❌ ∫f(x)dxを∫dx f(x)と書いてあるいけない

というデタラメを教わっている場合もあります。

積分の数学的記号法の背景にある直観に無頓着で、∫とdxを「かっこ」「かっことじる」のようなものだと教えている場合があるようだ。

これも修正が必要。
#数楽 あと

❌高校数学での三角関数の微積分は循環論法になっている

というデタラメを吹き込まれている場合も珍しくありません。高校数学IIIで教わる「速さの積分で曲線の長さが書けること」を使って弧度法の意味での角度を定義すれば循環論法になりようがないのに!
#数楽

安易に循環論法だと言うのをやめようという話関連
#数楽 高校数学IIIの教科書に書いてある

 速さの積分 = 曲線の長さ

という公式は、

 これを理解できていないなら
 微積分をせっかく勉強した甲斐がない

と言えるくらい基本的な事柄です。

これを使えば三角函数の微積分は平易になります。
#数楽 ところが、妙な思い込みが蔓延していて、「曲線の長さは曲線の分割から得られる線分の長さの総和の極限(上限)で定義しなければいけない」のような誤解がよく見られます。

曲線の長さを速さの積分で安易に定義しても多くにケースで何も問題ありません。三角函数論の展開でもそうです。
#数楽 このように、

* 微分や積分の数学的記号法
* 三角函数の定義に必要な弧度法の意味での角度の定義

のような、ものすごく基本的な事柄についても、現実におかしな誤解が蔓延してしまっている。

これの修正を大学側がやらざるを得ない状況になってしまっています。ε-δ云々以前の部分に問題山積。
#数楽 訂正

訂正前
❌ ∫f(x)dxを∫dx f(x)と書いてあるいけない

訂正後
❌ ∫f(x)dxを∫dx f(x)と書いてはいけない

iPadだとこうなりがち。

∫dx f(x) の順序で書くことが便利な場合があるので、そういう書き方を禁止されると困る。

添付画像は高木貞治『解析概論』より。 Image
#数楽 「n→∞でのn!の振る舞い方」は色々な意味で非常によい例になっています。

①n!を積分で書ける: n! = ∫_0^∞ xⁿ e⁻ˣdx. (なぜか積分で書けると数学的によいことが沢山あるという原理)

続く
#数楽

②x=n+√n y=n(1+y/√n)とおくと、

n! = nⁿ e⁻ⁿ √n a_n.

ここでa_nの定義は

a_n = ∫_{-√n}^∞ (1+y/√n)ⁿ exp(-√n y) dy.

(x=n+√n yという変数変換の正体ははLaplace近似!)

続く
#数楽

③(1+y/√n)ⁿ exp(-√n y)のn→∞での振る舞い方は対数を取って、1/√n についてのテイラー展開を見れば分かる。じっさいにやると、

(1+y/√n)ⁿ exp(-√n y)→exp(-y²/2)

となることがわかる。((1+x/n)ⁿの場合と同様の方法!)

続く
#数楽

④極限と積分が交換できるので、n→∞で、

a_n → ∫_{-∞}^∞ exp(-y²/2) dy = √(2π).

これで、Stirlingの公式

n! = nⁿ e⁻ⁿ √(2πn) (1 + o(1)) as n→∞

が得られた。
#数楽 n! をわざわざ積分で表したことの御利益存在は、②で、積分変数をx=n+√n y=n(1+y/√n)と変換した瞬間に

n! ~ nⁿ e⁻ⁿ √n √(2π)

の nⁿ e⁻ⁿ √n の部分が瞬時に得られることからも分かる。

実際に使われるのが log n! の場合には、 √(2π)の因子の重要性はかなり下がります。
#数楽 極限と積分の交換は実際にはかなり緩い条件で可能(Lebesgueの収束定理)だし、以上のような価値ある計算例を集積する前に、そういうことにこだわりすぎるのは不健全なので、最初のうちは軽く通り過ぎてもよいと思います。

「気にしたい人は頑張れ!」で十分。
#数楽 この程度の極限の交換可能性を自力で証明できるような論理的スキルを身につけることはそのような能力が必要な人にとっては重要ですが(習得に数年以上かかる)、論理的スキルが不十分な状態で、この程度の計算での極限の交換可能性を気にするのは無駄な格好付けで不健全だと思います。
#数楽

⭕️この程度の極限の交換可能性を自力で楽々証明できる程度の論理的スキルを身につける。

❌極限の交換可能性を気にしろと他人に強要してマウントを取る。

⭕️自分が代わりに極限の交換可能性を証明してあげる。
#数楽 私が大学1年生のときには、1年かけて実1変数函数の微積分しかやらない代わりに、証明が面倒な定理の証明は後回しにするというスタイルで、ε-δで完全に証明をつける講義をききました。

時間に余裕があることを十分に非常に易しい講義でした。続く
#数楽 閉区間上の連続函数の一様連続性を使ってRiemann積分可能性を証明するというようなこともやりました。

1年かけて実1変数の微積分しかやらないなら可能ですが、半期の講義では絶対に不可能。

数年前に私が大学1年生のときのその講義のノートを発見して、嬉しくて懐かしくて号泣した。
#数楽 訂正

❌時間に余裕があることを十分に非常に易しい講義でした。

⭕️時間に余裕があることを十分に利用している非常に易しい講義でした。

例の計算も少なめでしたが、「1年かけて大学新入生にε-δを使った厳密で一貫した解析学に流儀を絶対マスターさせてやるぜ」的な勢いがあった。
#数楽 他の微積分のクラスではそれとは全然違う内容だったはずです。理学部数学科の新入生を含むクラスではそういう講義が行われた。
#数楽 内容を少なめにして1年かければ、実数論を基礎に据えてε-δで厳密に理論を展開する解析学にエッセンスを大学新入生に無理なく教えることが可能であることを私は知っています。

そういうことをできる仕組みが制度的に無くなってしまったのは、非常にもったいないことだったと思います。
#数楽 Gauss積分は正規分布の理解に必要。

「ベイズ統計について勉強しよう!」と思った人にとって最も易しい例は「ベルヌイ分布モデル+ベータ分布の共役事前分布」の場合になり、ベータ分布についてはガンマ函数とベータ函数の関係を知らないと苦しい。

Fourier変換を知らないと至る所で困る。

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16 Jan
#数楽 子が次の問題を解き始めたので、私が心の中で「正9角形だから各頂点での外角は40度で云々」と考え始めた直後に、「できた!」と言われてくそびっくりした。

10秒で解いた!

解き方が本質を突いていて非常に感心してしまった。

色々な解き方に続く。 Image
#数楽 問題に付属の模範解答はこれだった。

6角形の内角の和から分かっている角度を引く方法。

実はこれは問題の出し方の罠にはまっているとみなせる解法。無駄に難しく問題を解いている。 Image
#数楽 私は以下の解法を考えていた。

外角の和の360度から分かっている外角を引く方法。 Image
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14 Jan
#超算数 ことごとく正しいことを述べていても、証拠となる資料を引用していなければ、「観戦者」への説得力はゼロに近付き、証拠の資料抜きに信じてしまうような人達だけにアピールしてしまうことにもなります。

自分の主張の大部分に証拠資料を添付するようにした方がベターだと思いました。
#超算数 算数教育界が100年以上ずっとおかしな教え方を続けているという問題については、具体的にどういう問題であるかが世間的にほとんど何も知られていません。

自分の意見を述べるよりも、事実を示す資料の拡散の方が重要であり、資料拡散のツイートをする人が増えないと非常にまずいと思います。
#超算数 最近、再拡散した方が良いと思って実際にそうした資料
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9 Jan
#超算数 以前、よく知っている子供が「中3」ではなく、「小3」になって割り算を習ったことに気付いたので、速さ、距離、時間の計算が易しい問題を出したら、普通に正解しました。

生活の中で距離と時間について知っていて、「1時間で3km歩く」のような言い回しを理解できれば、公式は無用。続く
#超算数 小3の子は、公式について一切習ってなくても、速さ、距離、時間の問題を普通に解ける、という話は以下のリンク先で引用した本にも書いてあります。
#超算数 小3の時点で「1時間に4kmずつ歩く」とか「1時間に50kmずつ車で進む」のような言い方をすれば、子供は理解できます。

それどころか、「2時間で100kmずつ進む」のように「単位量当たり」ではなく「2時間当たり」も理解できる。

「単位量当たりの~をみんな理解できない」は錯覚だと思います。
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7 Jan
#超算数 谷村省吾さんは遠山啓さんの言葉を孫引きしていますが、実際には遠山さんは彼自身による「量の理論」に基き、かけ算順序固定強制指導を正当化する酷い発言も残しています。

添付画像②を参照。

「量の理論」がその後の算数教育に与えた悪影響について谷村さんは知っているでしょうか?続く ImageImage
#超算数 遠山啓氏は、自身が広めた「内包量」という困りものの算数数学教育用語を用いてこう言った。

【乗法の交換法則が連続量にはまだ適用しないほうがよいとしたら〜外延量×内包量とは書かないほうがよいだろう】

【単価×分量~とは書くが~分量×単価〜とは書かない】

books.google.co.jp/books?id=Zaiaq… Image
#超算数 「量の理論」についても教わってしまったのはまずかったと思います。

昔から数学関係者の一部には、遠山啓さんやその「量の理論」に好意的なせいで、遠山啓さん及びその弟子筋(特に銀林浩氏)が算数数学教育に与えた悪影響を無視する傾向があるという問題があります。

これは頭の痛い問題。 Image
Read 52 tweets
6 Jan
#超算数 見事に何が問題とされているかを全然理解できていない。
#超算数 【等号「=」の意味の違い】だと説明しようとしている点があまりにも杜撰すぎる。これはひどくデタラメな説明だと言って問題ない。

あと、常識的にはx=x+1やx=xも「その等式を満たす実数xの全体を求めよ」の形で方程式扱いされるので、添付画像の方程式の説明もおかしいです。 Image
#超算数 【等号「=」の意味の違い】とする説明が批判されているのに、それとは違う杜撰な要約をして、以下のリンク先のように、等号「=」の意味の違いとは全然違う話を始めた。

しかも、その内容もかなり杜撰。
Read 59 tweets
13 Dec 21
#統計 添付画像下段はよくあるベイズ版95%信用区間(確信区間)の最高事後密度(HPD)版です。95%の部分は0から1の間の任意の実数に一般化できる。

添付画像上段のベイズ版P値は「信頼区間と検定が表裏一体」という原理を適用して定義されています。

nbviewer.org/github/genkuro…
#統計 ベイズ版95%信用区間もベイズ版のP値も事後分布の情報だけを使って定義されており、通常の信頼区間やP値の作り方とは異なります。

しかし、数学には定義が全然違う量がある条件のもとでほぼ同じ値になることを証明できる場合が多数あって、解析学の基本的な考え方になっています。
#統計 実践的には無視できる違いしかない2つの数学的量を使った分析や推論は平等な扱いをする必要があります。

❌定義の違いは規範の違いから来ている。違いを無視できるほど同じ値になるとしても、それらは異なる使い方をされなければいけない。

などと言うと、単なるトンデモさんになってしまう。
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