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15 Oct, 31 tweets, 2 min read
若林理砂『東洋医学式凹んだココロをカラダから整える46の養生訓』(原書房)

人のココロは自分が思っている以上にカラダの状態に影響を受ける。
凹んでるなぁと思ったら、まず空腹、手足の冷え、寝不足、凝り、痛みや痒みといった、カラダの状態に意識を向けてみるといい。
多くの人は、自分のカラダについて、ぼんやりとしか認識していない。
カラダには個性、型がある。
また、カラダは睡眠、飲食、運動を通して、カラダをとりまく環境との、絶え間ない代謝、交換、共鳴の中にある。
ココロは、そのカラダのダイナミズムに伴う現象だ。まず、そのことをしっかり自覚する。
まずカラダの個性、型について、東洋医学では熱ー冷、湿ー乾の軸を交差し、熱湿タイプ、熱乾タイプ、冷湿タイプ、冷乾タイプの4タイプに分類する。
自分がどんな体質なのかを自覚しておくと、気分の浮き沈みの傾向や、その際どんな手当てをしてやればいいか、より明瞭に分かるようになる。
冷湿タイプは、冷えと湿気に弱いタイプ。メンタル的にはちょっとしたことでめそめそ涙もろくなったり、くよくよと同じことを考え続けたりする凹み傾向をもっている。考え込みすぎて行動するのが億劫になったりする。
「これでいいのかしら」
「おとといあんなこと言われて…」
「もう面倒くさくて」↓
冷乾タイプはとにかくカラダのエネルギーが少ないタイプ。感情の起伏は小さめだけれど、ストレス耐性は低いため、ちょっとしたことで弱って凹んでしまう。しかも回復に時間がかかる。
「私だってつらいんです……」
「頑張らなきゃ」
「生きるのがつらいです」↓
熱湿タイプはカラダのエネルギーが強くて多いタイプ。感情表現がパワフルで、ストレス耐性も高いが、エネルギーが余りすぎると暴走。押しつけがましさが出たりするので、うるさい、しつこいと言われて凹むことも。
「これがいいんだって!絶対!」
「私の何が悪いっていうの!」
熱乾タイプはカラダのエネルギーは強めだが、クールダウンが苦手なタイプ。ちょっとしたことでイライラして、いろんなことが気になって周囲に厳しい言葉を投げかけ、敬遠されて凹むことが。
「これは間違ってると思う!」
「どうして!」
「またやりすぎちゃった……」
さて、自分のカラダの型を理解したら、それぞれにココロを上向きにする養生をしましょう。
冷湿タイプは冷えをむくみが増えるとココロが凹みやすくなるので、甘いものや炭水化物の摂りすぎには特に注意が必要。少し発汗する程度の軽い運動をいつも心がけます。
冷乾タイプは感情表現が薄いので、周りから凹んでいることに気づいてもらえません。つらかったらつらいと言葉に出すことを意識します。カラダを温める食材、赤身の肉、海老やサーモン、胡桃などを食事に取り入れるといいでしょう。痩せすぎの傾向があるので、BMI18.5を下回るようなら体重の増加を。
熱湿タイプはカラダの中にエネルギーを溜め込みすぎないようにすることで、猪突猛進な行動や、人に「しつこいよね」と言われることが減ってきます。甘いもの、脂っこいもの、味の濃いもの、肉類、炭水化物の多食を控え、全体の食事量をすこし減らしていきます。
熱乾タイプは、カラダに熱がこもりやすく、オーバーヒートしてしまうため、突然ベコン!とココロが凹んでしまいます。カラダを潤して熱を冷ます食材、果物類や乳製品、植物性油脂、海藻、葉物野菜などを多めに摂取するように心がけます。行動は8割に控え、夜更かしは避けるように気をつけましょう。
タイプ別で、食べた方がいい食材、食べるときの注意点も変わってくる。一概に何がいい、悪いとは言えないのである。
例えば、冷乾タイプの人で、へたに菜食主義などを採り入れると、かなりカラダにダメージを食うことだろう。熱湿タイプは、逆に、過食を抑えるのにいいかもしれない。
さて、大きな精神的ダメージを受けたとき、そのストレスを緩和しようとして、人は何かしらの「気晴らし」「休止」をする。その際、自分のダメージの状態を自覚するために、その気晴らしの行為や休止に、歯止めが利くかどうかをチェックしてみるといい。
・食欲はあるか、もしくは以上に亢進していないか
・アルコールはいつもの量で酔えているか
・買い物は妙にたくさん買い込んだり、後先考えずに高いものを買っていないか
・風呂に入ったりちょっとした片づけ物をする気力は残っているか
・SNSに書き込んでいる愚痴がすさんでエスカレートしていないか
これらのことを、ある程度自分で分かってやっている分には問題ない。こうして「気晴らし」「休息」することを通して、自分が受けているダメージを客観的に見ることができるようになる。
だが、どうやら歯止めが効いてないと思ったら、その行為は一旦停止した方がいい。
気晴らし、休止を停止して、何がどうしてそれほどのダメージになっているのかを一度しっかり言葉にできるまで考えてみた方がいい。
それは、ダメージを反すうする行為とは違う。以下のような段階を踏んで考えてみる。
まず、恥ずかしかった、つらかった、嫌だった……という断片的な言葉から、もう少し踏み込んで「〇〇さんが××と言ったので、私は馬鹿にされたと思って腹が立ち、涙が出そうだった」と、しっかりと文章のレベルになるまで表現してみる。
そして、本当はその場でどうしたかったのか、どう行動すれば気が晴れたのかを具体的に想像します。「ぶん殴ってやろうと思った」なんて実際にできそうにないことでも構わないし、「なんでそんなこと言うの!と詰問したかった」という実際にできそうな行動でも構いません。
そのとき取り得た具体的なアクションをずらっと並べてみて、最後に、現実にこの後どうすべきか考えます。だいたいこの辺りまで考えが進むと、現実的な対処方法が見えてきます。それが見えたら、OKです。さっきの気晴らしを再開しましょう。
ー東洋医学的な見地では、一度生まれた感情を押し込めるようにしてダメージを受けたままにしておくと、その感情と対応したカラダの部位が壊れてしまうと考えられています。ですから、段階を踏んで感情を放出させ、そのうえで気晴らしをして感情の気のエネルギーを放散させるようにするのです。P46
カラダは睡眠、飲食、運動を通して、カラダをとりまく環境との、絶え間ない代謝、交換、共鳴の中にあります。
だからカラダを整えるとは、つまり、睡眠、飲食、運動を整えるということを意味します。カラダの型、季節や気候に応じて、それらのリズムを整えれば、ココロのバランスも取れていきます。
まずは、季節、昼と夜の長さのサイクルです。一年の中で、昼の長さが長くなっていく期間は、少しずつ動く量とテンポを増やしていく時期です。逆に、昼の長さが短くなっていく時期は、徐々に生活をスローテンポにしていきます。睡眠、食事も、その活動量に比例して、調節していきます。
一日の生活で、食の時間は重要です。
例えば朝食7時、昼食12時、夕食18時と、朝食9時、昼食14時、夕食20時というサイクルだと、同じカロリー摂取量でも、後者の遅いサイクルの方が体重が増えるということが実験で確かめられています。
食事の間隔を一定にして、前倒しにすること。
食、睡眠、運動のサイクルについて、本書ではていねいに説かれている。それぞれそんなに難しいことではないが、それを継続するということが重要になる。そうして自分の生活にリズムをつけていくことで、ココロが物事に動じない「中庸」のゾーンが広がり、柔軟になっていく。
生活にリズムをつけるとき、先ほどの乾タイプの人は、時間ののりしろが少なくなる傾向がある。つまり、よくばりで、いつも忙しく自分を追い込んでしまう。
これに対して湿タイプの人は反対に、ダラダラしてしまう傾向が強い。行為に「慣性の法則」「摩擦力」が働きやすいのである。
湿タイプの人は「めんどくさい」と思ったら、まず手やカラダを動かした方がいい。めんどくさいと思う時は、エンジンが勝手に止まろうとしているときで、こういうときは一気にアクセルを踏み込まないと、いったん止まってしまうと、再度エンジンがかかるまでにとても時間がかかる。
カラダは、固定したものではなく、絶え間なく環境との代謝、交感、共振のダイナミズムのなかにある。環境もカラダも、刻一刻と変化する状況の中で、一定の動的平衡を保っている。その動的平衡を司るのは、リズム、律である。ココロを整えるには、リズム、律を整えることが重要になる。
そして、逆に、ココロの歪みが、カラダのリズム、律を乱すということもあるので、その認知の歪みを正すことも、健康には必須になる。認知の歪み、呪いには、古典的な心理学で「禁止令」と呼ばれる、ある拘束的な考え方の癖がある。それは、ー
・成長するな
・自分の性であるな
・子供あるな
・重要であるな
・成功するな
・所属するな
・健康であるな
・親しくするな
・感じるな
・考えるな
・実行するな
・欲しがるな
・存在するな
そして、「拮抗禁止令」。これは、ー
・完璧にしろ
・満足させろ
・努力しろ
・強くなれ
・急げ

「拮抗禁止令」は、これらを満たすことで人から愛されると思い込まされている事柄です。こんな言葉がココロの中に楔のように打ち込まれているとしたら、さっさと抜き去ってあげないといけません。
こうした呪いの言葉を自分の中に探って、その楔を見つけたら、自分の言葉でそれをアップデートしてやること。こうして、自分が健康になることを阻害している自分の中の抵抗要因を抜き取ってやるのです。これは、ココロからカラダへのアプローチです。

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16 Oct
森田真生『僕たちはどう生きるか』(集英社)

ーこれまで反復していた自然がかつてのようには反復しなくなり、当たり前にいたはずの生き物たちが次々と滅びていく世界で、心を壊さず、しかも感じることをやめないで生きていくためには、大胆にこれまでの生き方を編み直していく必要がある。P3-4
本書は2020年3月30日(月)から書き始められる日記形式の連載をもとにしている。
コロナウィルスのパンデミックが広がっていき、「危機を阻止しようとする取り組みが、既存のシステムの順調な作動の急激な停止」をもたらした、その時間の中で、アクチュアル且つラディカルな思考が展開されている。
コロナ、急速な気候変動、これらの人間がもたらした旧来の人間の環境の危機的状況のなか、著者は、この状況を乗り越えていくためには、ラディカルな認識の転回が必要だとする。エコロジカルな転回だ。だがエコロジーとは何か。
ティモシー・モートンの「エコロジカルな自覚」という概念が引用される。
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14 Oct
太田啓子『これからの男の子たちへ』(大月書店)

男らしさ、男性性は、これまで社会的にポジティブな評価を受けてきた資質、能力だった。
もちろん、物事を遂行する上で、それはポジティブな側面も持つ。だが、光があれば闇もある。男性性のネガティブな側面は、これまであまりにも無視されてきた。
問題は、男性性そのものというより、男性のホモソーシャルな社会性のなかで、男性性が唯一絶対の価値として共有され、人間のそれ以外のさまざま美質が抑圧されてしまうことにある。
男性性の優位を競うホモソーシャルな社会の中では、”男らしくない”ゲイや女性は嫌悪され、嘲笑の対象となる。
男は、子供の頃から「誰が最も男らしいか」を競い合う価値観のなかで育つ。「男らしさ」とはどういうことか?
『男らしさの終焉』という著書の中で、社会心理学者のグレイソン・ペリーは、「男性性の4要素」を、①意気地なしはダメ、②大物感、③動じない強さ、④ぶちのめせ、とまとめている。
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13 Oct
『堀内誠一 旅と絵本とデザインと』(平凡社)

コロナ・ブックスで堀内誠一があったので購入。何となくは知っていたが、すごく広大な仕事をした人だったんだなぁと改めて。
特にエディトリアル・デザインの仕事。この人の手がける雑誌はただの情報媒体じゃなくて、雑めく芸術だ。本当に愉しい。
ー雑誌は音楽の組曲のように、いやもっと食事のコースに似ているかも知れません。アペリチフがあり、前菜、アントレがあり、メイン・ディッシュがあり、デザートや食後酒のツマミがあるという形を先ず想像します。↓
そして食べ方の好みに則して、デザートを増やしたり、なかにはチップスばかり集めたカタログ誌風な雑誌も作れるわけです。
いずれにせよエディトリアル・デザインは料理や作曲の工夫に似ています。面白いスケルツオを長くするのもいいが、延々とアダジオを歌いたい気もあるのです。
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13 Oct
若林理砂『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)

東洋医学の知見をもとに、これだけやっておけば年相応に健康になります、という方法を指南してくれる。
とてもシンプルな原理原則を外さないだけで、老いて寿命をまっとうするその過程を、普通に清々しく過ごるみたい。
健康というと、年齢に関わらず、完全なパフォーマンスをイメージする人が多い。
著者はまず人は必ず老いて死にますという当たり前のことを指摘する。まず、自分の平均余命を意識して、その間、バランスよく生きていければそれが健康ということにしましょう、と。
ちなみに、私はあと28年くらい。
著者は「死への恐怖心から完璧な健康を目指して、さまざまな健康法に手を出した結果、かえって不健康になってしまう例を、臨床でたくさん見てきました」という。ちょっと具合が悪いとすぐに不安になるような、死を恐れるメンタリティが、「完璧な健康」という幻想をよびこむ。どうせ死ぬのに。
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12 Oct
高橋弘樹『都会の異界』(SHC)

ーいちばん幸せな暮らしとは何か?それは、「市中の山居」だと思う。都会の中で、田舎のような住まいをすることだ。P10

佃島ほか、東京23区内にある「島」には、「島」であるがゆえの別世界(人の雰囲気も、家賃相場も)がある!
この著者、もともとはテレビ制作会社のディレクターだったということだが、歴史的な物やそこいらをぶらぶらしている人への視点がじつにおもしろい。おもしろ物や人は、おもしろい人のおもしろい視点や好奇心に映るもんなんだよな、と改めて思う。
北区中之島では、釣りをしているおじさんに声をかける。なんと、ウナギを釣っているのだという。

ー「ここら辺で獲れるウナギって食べられるんですね」
「食べられるよ。でもね、本当はウナギ狙うならね、この島では釣れるけどやらないの」
「なんでですか?」↓
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22 Sep
マイケル・S・ガザニガ『脳の中の倫理』(梶山あゆみ訳 紀伊国屋書店)

脳死やドーピング、法律が根拠とする自由意志といったトピックに即して、人間の倫理や道徳が、文化相対的、文脈依存的な条件を越えて、ある程度普遍的な反応であるということが論じられる。
特に興味を惹かれたのが9章「信じたがる脳」。

ー脳は電光石火のスピードで信念を生み出すことができる。ほとんど反射的に、と言ってもいい。
今では、信念を生み出すのは左脳だとわかっている。左脳は、世界から受け取った情報に何らかの物語を付与する仕事をしている。(…)↓
信念の大部分は、それが形成されるときに通用していた知識に基づく解釈にすぎない。なぜか心から離れないというだけなのだ。その事実を知れば、今私たちのまわりにあるさまざまな信仰や政治理念を、どうしてまじめに取り合えるだろう。P202
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