ゴーンさんの会見については人それぞれの意見や感想があってもいいと思う。しかしアメリカの弁護士という立場から発言すると、日本の司法制度が一番反省してすぐにでも改善しなければいけない点は、日本では未だに被告弁護人不在のまま取り調べが何時間も行われるという事実だと思う。（続）
これは比較的簡単に改善できることなのでそう急に対応するべき。アメリカには「Miranda warning（ミランダ警告）」というものがあり、警察モノの映画などで見たことがある方も多いとは思うが、警察が容疑者を逮捕した瞬間に「あなたにも黙秘と弁護士を雇う権利があります。・・・」（続）
「もしもあなたが弁護士を雇う経済力がないのであれば公選弁護人があてがわれます」と伝える義務がある。そして被告人が「私は弁護士を要求します」と言った瞬間に警察は弁護人が登場するまで『すべての』の質問を止めなければいけない。『すべて』とは、名前さえをも聞いてはいけない。（続）
そして万が一この警告を警察が言うのは忘れた場合は、どんな凶悪犯であり容疑が100％であろうが、容疑者は無条件で保釈となる。そこまで徹底している。勿論アメリカも最初からこんな法律があったわけではない。これは有名な「ミランダさん vs. アリゾナ州」というたった８ドル（900円）・・・（続）
の窃盗罪の事件がありそれが最高裁まで上告されて、憲法のもとアメリカに住む者には「弁護の権利がある」ということを再確認したもので、もともとは米国憲法修正条項第五条と第六条が基本となっている。これは簡単に言うと警察による力を使った「強制的な自白」を止めるためである。（続）
アメリカの司法制度が完璧とはいわないし、日本の司法制度が不完璧だともいうつもりはない。お互い別の文化と歴史が背景にあって今の制度となっているわけで、一概にああだこうだということは避けたいが、日本の検察は最低でもこの一点だけは早急にそして絶対に変えるべきだと思う。（続）
被告弁護人不在のまま日夜構わず取り調べを受ける容疑者の気持ちを想うとそれは想像を絶する。これは「取り調べ」ではなくて「拷問」に近い。そして結論としては、これを変えるだけで世界の日本の司法への視線も変わると思う。（終）
